2019 Fiscal Year Research-status Report
Super Activated Cation Chemistry Based on Anionic Boron Cluster and New Function
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19K23626
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
北沢 裕 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 准教授(特定雇用) (10847859)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | アニオン性ホウ素クラスター / カチオン / DFT 計算 / イオン性ナノ構造 / 不安定活性種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アニオン性ホウ素クラスターに立脚したアプローチにより「超高活性」有機・無機 (金属) カチオンの生成と利活用を目的とする。具体的には、極めて低い塩基性、求核性を有するホウ素クラスターであるカルボランアニオンに着目し、その構造・電子状態制御およびイオン性集合体の設計を行う。これらを通し、不安定活性種の単離・利活用、新規触媒開発、イオン伝導材料への展開を目指す。 以下に当該年度における研究実績の概要を記載する。 新しいタイプの分子設計としてカルボランアニオンが複数含まれる多価型アニオンの設計に取り組んだ。ベンゼンを基本骨格とし、ケイ素、炭素をリンカーとすることでカルボランアニオンを導入したジアニオン、トリアニオンの合成に成功した。単結晶x線構造解析から銀カチオンなどと組み合わせることでアニオン、カチオンが層状に並んだ新規構造を見出すことができた。IR分光法による解析からこれらの多価型アニオンは非常に配位性が低くなることが示唆され、カウンターカチオンを高度に活性化できると期待される。また、カルボランアニオンを組み込んだリガンドをデザインし、1価銅と組み合わせることで金属有機構造体にも展開可能で、種々の分光学的手法から構造を同定した。これ以外にも銅試薬の利用を鍵としたカルボランアニオンの修飾化反応にも取り組んでおり、これまで例のなかった炭素頂点の直接アミノ化も可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度はカルボランアニオンを基盤として、系統的なモノ/多価アニオンの合成手法を構築することができた。さらに合成したアニオン群を用いることで新規イオン性ナノ構造へと展開可能であることを見出した。また、当初想定していた、計算科学・分光学的手法を用いた分子デザイン・構造評価法が機能することが確認できた。このように高活性カチオン種を利活用し機能を引き出す準備を整えることができたため、初年度として十分な進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策に関して、引き続き、さらなるホウ素クラスターのデザイン・合成を行う予定である。合成したアニオン群に対して、カウンターカチオンとして様々な多価/典型/遷移金属カチオンや有機カチオンを選択し新規イオン性分子/集合体の合成に取り組む。またこれらを用いた応用として不安定カチオン性軌道の単離/高活性カチオン触媒としての利用/イオン伝導性の評価などに取り組む。多様なイオン性構造をデザインすることで系統的な機能評価が可能と考えている。
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Causes of Carryover |
旅費の執行が計画当初より減ったため。次年度使用額は令和2年度請求額と合わせて学会等の出張費として利用する予定である。
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Research Products
(2 results)