2019 Fiscal Year Annual Research Report
配位子の分散力制御を鍵とする高立体選択的な鉄触媒C-グリコシル化反応の開発
Project/Area Number |
19K23630
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
縣 亮介 京都大学, 化学研究所, 特定研究員 (80850502)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2020-03-31
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Keywords | 鉄触媒C-グリコシル化反応 / トランス選択的 / 分散力相互作用 / ジアステレオ選択的 |
Outline of Annual Research Achievements |
高選択的な鉄触媒C-グリコシル化反応を開発することを目標とし、2019年度ではより一般性の高い基質の1-bromo-4-propylcyclohexane(trans:cis=60:40)と(2-methoxyphenyl)magnesium bromideを用いてジアステレオ選択的なカップリング反応が進行するか検証した。鉄触媒クロスカップリングに有効性が示されているジアミンやホスフィン配位子、NHC配位子などを試したところ、中程度から良好な収率で目的のカップリング体が得られたが、いずれもtrans:cis=65:35の割合となり選択性は発現されなかった。尚、Bn-BOXおよびPyBOXを用いた場合や配位子を加えない条件ではオレフィンの生成が競合し、低収率となった(trans:cis=66:34)。そこで、配座固定されたシクロヘキサン骨格をリン上に導入した新規ビスホスフィン配位子を用いることで分散力相互作用によるラジカル中間体の配位固定を促すことが可能となると考え、新規配位子SciOPP-2Adを11%で新たに合成し、検討を行った。しかしながら、本配位子による分散力相互作用は有効性が示されず、選択性の向上は観られなかった。またシクロヘキサンやトランスヒドロデカリンを溶媒として用いることで、トランス選択的に鉄とのラジカル再結合が起きると予測し、検討を行ったがいずれも選択性は変化しなかった。現段階では配位子や溶媒による選択性の制御は困難であるが、さらにシクロヘキサン骨格が広がったデカリンやコレステロールをリン上に導入したビスホスフィン配位子などを用いることで、ジアステレオ選択的カップリングさらにはC-グリコシル化反応が制御可能となると期待される。
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