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2019 Fiscal Year Research-status Report

Development of synthetic methods for divergent polysulfides based on the selective use of leaving groups

Research Project

Project/Area Number 19K23637
Research InstitutionChuo University

Principal Investigator

金本 和也  中央大学, 理工学部, 助教 (90849100)

Project Period (FY) 2019-08-30 – 2021-03-31
Keywords有機硫黄化学 / ポリスルフィド / 求電子的チオ化剤 / チオスルホナート / チオイミド
Outline of Annual Research Achievements

多数の硫黄原子が連なった特異な構造を有するポリスルフィド類は,タンパク質の構造変化などの生体現象の解明や,生命科学分野や食品科学 分野での多彩な応用が期待される化合物群であるが,これらを「S数」を制御しながら精密に合成することは困難であった.これに対して,硫黄原子上に複数配置した脱離基の性質の違いを明らかにし,使い分けて利用することで,(ポリ)スルフィド類を収束的かつ迅速に合成することを目的として本研究を実施した.
検討の結果,アミノ基とスルホニル基がプロトン存在下で大きく異なる性質を示し,脱離基として使い分けて利用できることが明らかとなった.この結果を基に,ジスルフィド上にスルホニル基とモルホリノ基を配置したプラットフォーム分子を用いて,プロトン存在下で反応を行うと,モルホリノ基のみが選択的に活性化され,1つの硫黄原子の放出を伴いながら芳香族求電子置換反応によって,効率良くチオスルホナートを与えることが明らかとなった.
このように,ジスルフィド型プラットフォームから1原子の硫黄を放出しながらスルフィドフラグメントの導入ができる一方で,脱離基を変更することで,硫黄の放出を伴うことなくジスルフィドフラグメントを導入できることも明らかとなった.このように,これまで困難であった硫黄数を制御しながら収束的に(ポリ)スルフィド類を合成する手法の開発に成功した.また,プロトンの有無によって脱離基の反応性の順位が入れ替わる予備的な知見も得ており,反応順序や反応剤をフレキシブルに選択できる柔軟性の高い(ポリ)スルフィド合成法への展開が期待できる.
また,求電子的なC-S結合形成法のみならず,相補的な求核的C-S結合形成法として,電子不足オレフィンへのMichael付加型チオスルホニル化反応の開発にも成功した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本研究課題では,求電子的なチオ化剤の性質の違いに着目し,使い分けることで,ポリスルフィド類の多様性合成を可能にする手法の開発を目指すことを目的としている.
これに対して,2019年度においては,スルホニル基に対してモルホリノ基やイミド基を使い分けて利用できること,モルホリノ基とイミド基を使い分けて利用できることを明らかにすることができた.さらに,これらの脱離基を導入した複数のプラットフォーム分子を開発し,脱離基を使い分けられることのみならず,硫黄の脱離の有無を制御することが可能であることを明らかにすることができた.また,これらの反応を,芳香族求電子置換反応やアミノ化反応など複数の反応に利用できることを明らかにした.
加えて,プロトンの有無によって脱離基の反応性の順位が入れ替わる知見も得ており,反応順序や反応剤をフレキシブルに選択できる柔軟性の高い(ポリ)スルフィド合成法への展開が期待できる.
また,求電子的なC-S結合形成法のみならず,相補的な求核的C-S結合形成法として,電子不足オレフィンへのMichael付加型チオスルホニル化反応の開発にも成功した.
以上のように,様々な脱離基が使い分けるに足る反応性を示し,スクランブルを起こさないという基本コンセプトの立証,実際のプラットフォーム分子の合成,反応への応用に加えて,硫黄数の制御や,反応条件による脱離基の反応性の逆転など,当初の計画以上の精密な反応制御が達成されていると考えている.

Strategy for Future Research Activity

これまでに実証した硫黄脱離基を使い分けるコンセプトを利用して,様々な反応への利用拡大を試みる.
まずは,硫黄の脱離を伴いながら進行する芳香族求電子置換反応型のチオスルホニル化反応に関して,基質適用範囲の調査や合成的応用,計算科学による硫黄脱離の機構解明を行う.
続いて,プロトン条件下で行う,硫黄の脱離を伴わないジスルフィド化反応に関しても,芳香族求電子置換反応への応用を行う.続いて,プロトン非存在下での求核置換反応について,様々な求核剤の適用を試み,反応順序や反応剤をフレキシブルに選択できる柔軟性の高い(ポリ)スルフィド合成法への展開を目指す.

Causes of Carryover

2019年度は,概ね当初の要諦通りの予算使用状況であった.
本研究は,ポリスルフィドプラットフォームなどの有機化合物の合成を中心とする研究であることから,反応剤や溶媒などの合成試薬類,フラスコなどのガラス器具,合成化合物を単離精製するためのシリカゲルなどの精製資材の 経費を消耗品費として利用する計画である.また,研究成果を広く公表するための費用として,論文投稿用の英文校正費,オープンアクセス費用,その他の経費として,複写費用などに利用する計画である.

  • Research Products

    (2 results)

All 2020 2019

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] TFA mediated preparation of S-aryl thiosulfonates from electron-rich arenes using mor-SS-Ts2020

    • Author(s)
      Koudai Furuhashi, Kazuya Kanemoto, Shin-ichi Fukuzawa
    • Organizer
      ACS-SPRING-2020-EXPO
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] チオスルホン酸塩を用いるMichael付加によるチオスルホナート合成法の開発2019

    • Author(s)
      古橋 昂大,鳥田 康樹,渡邊 時春,金本 和也,福澤 信一
    • Organizer
      第9回CSJ化学フェスタ2019

URL: 

Published: 2021-01-27  

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