2020 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative analysis and function development of molecular crystals with photo-triggered phase transition
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19K23638
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷口 卓也 早稲田大学, データ科学センター, 講師(任期付) (20843907)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 光トリガー相転移 / メカニカル機能 / 構造相転移 / 光反応 / 発生力 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は光によって結晶の構造相転移を誘起できる「光トリガー相転移」という相転移現象をこれまでに発見していた。この光トリガー相転移は光が到達していない領域にまで構造変化が伝播する点が他の光応答現象と異なり、また、分子の光異性化に起因するため、逆異性化によってもとの結晶相に戻ることができる可逆的な相転移である。このように、光トリガー相転移についての現象論的な理解は得られていたが、定量的な解析はその時点ではできていなかった。本研究課題は、光トリガー相転移結晶を定量的に解析することを目的としたものである。 2019年度に光トリガー相転移結晶のヤング率や発生力の測定系は確立できていた。2020年度は光トリガー相転移の変形や発生力を測定し、それらの光強度依存性や結晶サイズ依存性を明らかにした。また、光トリガー相転移結晶に光照射しながら赤外分光測定を行った。光トリガー相転移結晶は光照射によって分子のヒドロキシ基がカルボニル基に変化するため、赤外スペクトルのヒドロキシ基に対応するピークが光照射によって減少する。この性質を利用して、ヒドロキシ基に対応する赤外吸収ピークの減少量から、結晶中にできた光生成物の割合を算出し、ひずみの大きさと対応付けた。 さらに、光トリガー相転移結晶との比較対象として、分子構造は類似しているが光トリガー相転移は起きない結晶を用い、同様に変形や発生力の観察・測定を行い、光トリガー相転移結晶独自の変形と発生力の特異な挙動を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光トリガー相転移結晶の発生力の光強度依存性や結晶サイズ依存性を明らかにすることができた。赤外分光測定の結果から結晶中の光生成物の割合を算出することができ、ひずみの大きさと対応付けることができた。また、分子構造は類似しているが光トリガー相転移は起きない結晶を比較対象に用いたことで、光トリガー相転移結晶の発生力の特異な挙動を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
光トリガー相転移結晶の変形挙動と有限要素法による変形シミュレーションとを対応づけ、結晶中の応力分布を明らかにする。また、ナノスケールの力学特性を測定し、マクロスケールでの力学応答と比較し、力学特性と光トリガー相転移の相関を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延のため、参加予定であった国外学会参加費が未使用となった。また、当初より効率的に実験を遂行することができた。使用計画としては、消耗品費、論文掲載費、研究補助費としての支出を予定している。
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Research Products
(11 results)