2019 Fiscal Year Research-status Report
可変的な動的共有結合を鍵とするπ共役二次元高分子の合成とその機能開拓
Project/Area Number |
19K23641
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
松本 道生 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (90843110)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 多次元高分子 / π共役分子 / 合成高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2004年のグラフェン発見以来、2次元に原子が規則正しく並んだシート状の化合物である2次元高分子(2次元ポリマー)は、その特異な性質から、多くの研究者の関心を集めている。2次元ポリマーの物理的な研究が大いに進む一方、2次元ポリマーの化学的な合成法は未だに確立されておらず、合成面での発展は喫緊の課題である。近年注目される、モノマー小分子から2次元ポリマーをボトムアップ的に合成する手法は、従来の天然層状化合物から剥離するトップダウン的な手法に比べ、より多くの構造的な変化を加えられる利点があり、既存の2次元ポリマーを超える材料を創り出せる可能性がある。本研究課題では複雑で高次な構造のπ共役2次元ポリマーをボトムアップ的に合成する方法を研究している。10月開始の初年度はπ共役2次元ポリマーの合成法に関する予備的実験検討とπ共役結合を形成するのに必要な共有結合の動的性質のスイッチングする基礎反応の開発を行った。また、計算化学を用いた評価法を用いて、2次元ネットワークのジオメトリとそれに対応して得られるバンド構造との相関に関して詳しく解析した。これらの上述の内容を日本化学会第100春季年会 (2020)で学会報告を行った。当該学会発表はコロナウイルス対策により実際の会場での発表自体は中止になったものの、該当の内容をまとめた予稿集を元に学会発表が成立し、さらに、当発表は若い世代の特別講演証に選出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、合成実験と学会発表がコロナウイルスの対策の関係で多少遅れが出ているものの、計算化学等の手法を用いた評価を行うことで期待以上の成果を挙げている。全体としては概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に行った、実験をさらに発展させると共に、期待以上に得られた計算化学の知見を利用して、実際の共役2次元ポリマー合成を加速させる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス予防対策で生じた、学会発表の中止や実験室の使用停止に伴う実験計画の変更に基づいて、次年度使用額が発生した。次年度はこの次年度使用額を実験試薬や有機溶媒などの実験に必要な消耗品経費を中心に追加利用することでさらなる研究の加速に使用する。
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