2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of highly active carbon dioxide reduction catalyst with non-noble-metal active center
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19K23644
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩瀬 和至 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90846437)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 電極触媒 / 二酸化炭素還元反応 / 無機炭素材料 / 第一遷移金属 / 不均一触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
電気化学的二酸化炭素還元反応(CO2RR)は、工場等から排出される二酸化炭素を再資源化する手法として有望である。これまでのCO2RR触媒開発の研究では、いくつかの有機錯体及び金属ナノ粒子において高活性な触媒が報告されてきた。近年無機材料からなるCO2RR触媒の中でも、非貴金属を担持した炭素材料が高活性を示しうるものとして注目され始めている。しかしながら、それら非貴金属担持炭素材料において、高活性を示す活性中心の構造は不明瞭である。そこで、本研究では非貴金属を有する高活性触媒の開発及びその設計指針を明らかにすることを目的としている。 本年度は特に、有機錯体で高活性なものも報告されているコバルト錯体を前駆体として触媒を合成した。コバルト錯体を炭素源とともに溶液中で混合、乾燥させた上で、ボールミルにより均一に混合させた後に、得られた粉末を還元雰囲気中で熱処理することにより触媒を合成した。本手法において、熱処理条件を系統的に変化させ、合成条件が触媒の活性中心の構造に与える影響を調べた。熱処理温度、すなわち触媒合成条件がコバルト中心の形態、及び担体である炭素の形態に影響するということを、種々の分光測定、放射光やX線による構造解析、顕微鏡観察の手法を用いて明らかにした。また、活性中心の形態の変化により触媒活性が系統的に変化することを明らかにした。今後はこの手法を他の非貴金属を担持した触媒に展開していく予定である。 本研究の知見を用いて、本年度は更に2通りの条件で触媒を合成した。その結果、触媒合成過程(混合条件やコバルトの担持条件)が触媒活性に影響し得ることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コバルト錯体を前駆体として用い、コバルト担持無機炭素材料を触媒として合成した。合成過程(温度等)を系統的に変化させた触媒を数サンプル合成し、構造解析と二酸化炭素還元活性評価を行った。それらの結果から、熱処理条件を変化させることで触媒の活性中心の構造が異なるものが合成可能であること、触媒活性が変化し得ることを明らかにした。現在この研究結果を論文に取りまとめているところである。 また、総じて3通りの方法により触媒を合成したところ、触媒活性は触媒の合成手法に大きく依存することが明らかとなった。以上の点から、本年は概ね順調に研究は進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究結果をもとに、コバルト前駆体の選択や触媒合成方法の最適化を行うことで、さらなる高活性化を目指す。2020年度はこの研究の知見を他の金属元素を有する触媒にも展開していく予定である。さらに、研究代表者の知見のある第一原理計算により、本年得られた触媒の反応メカニズムを解析する他、高活性を示しうる触媒の探索を行う事により、2019年度の結果を更に発展させる予定である。
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Causes of Carryover |
物品費として、理論計算用ワークステーションと放射光測定に用いることが可能なin-situ測定用電気化学セル等の特注品を購入するための費用を支出する予定である。これらの物品により本研究をさらに進展させることが可能である。電気化学用消耗品や合成用試薬も2020年度の物品費として支出する予定である。旅費からは、社会情勢次第ではあるが、他機関での測定のための出張費、学会参加のための費用を支出する予定である。人件費等は支出する予定はない。その他の費用からは、社会情勢次第ではあるが、放射光施設の利用料及び現在取りまとめている論文の英文校正費を支出する予定である。
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