2019 Fiscal Year Research-status Report
移動積分の系統的な制御による半導体量子ドット超格子の光物性探索
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19K23654
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
江口 大地 関西学院大学, 理工学部, 助教 (50844677)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 半導体量子ドット / 超格子 / ダイヤモンドアンビルセル / ポルフィリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、半導体量子ドット (QDs) を周期的に集積させた超格子 (QDSLs) のQDs間の電子移動積分を系統的に制御し、発現する光物性の探索を行うことを目的としている。この研究では(1)QDsに平面配位する有機配位子の合成、(2)有機配位子のQDsへの平面配位とQDSLsの合成、(3)QDSLsの光物性探索の三段階で計画しており、研究業績の概要は以下の通りである。 (1)QDsに平面配位する有機配位子の合成 本研究では、QDsに平面配位する有機配位子として大環状π共役系を有するポルフィリン誘導体に着目し合成を行った。当初は合成の観点から、QDsへの配位部位としてアミノ基を有するポルフィリン誘導体の合成を行った。しかし、このポルフィリン誘導体はQDsへの配位能が弱いために、QDsへ配位させた際に、QDs表面から脱離する問題点が生じた。そこで、アミノ基ではなく、カルボキシル基を配位部位として有するポルフィリン誘導体の合成を試みた。市販の化合物を出発原料に3段階で合成を行い、目的とするポルフィリン誘導体を合成することができた。 (2)有機配位子のQDsへの平面配位 本研究では、配位子交換でポルフィリン誘導体をQDs表面に導入した。各種機器分析より、得られたQDsは精製後でもポルフィリン誘導体がQDsに配位していることが分かった。このQDsはQDsの発光の消光及び、溶液中でのフェムト秒過渡吸収スペクトル測定から、配位子交換前のQDsに比べてブリーチ信号の早い回復が観察された。これらは、QDsとポルフィリン誘導体間で強い電子的な相互作用が働いているためと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)の有機配位子の合成で、アミノ基を配位部位にもつポルフィリン誘導体をQDsに平面配位させることを試みていたが上記の研究実績の概要に述べたように、目的とするQDsを得ることができなかった。しかし、研究計画を修正し (配位部位の変更)、目的とするQDsを得ることができたことから、本研究計画はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、QDsへの配位部位としてカルボキシル基を有するポルフィリン誘導体を大量合成し、QDSLsを合成する条件の最適化を行う。本研究では、QDs間の電子移動積分の系統的な制御を行うためにダイヤモンドアンビルセル (DAC) で圧力印加を行う。QDSLsが合成でき次第、DACで圧力を印加しながら光物性の調査を行う。
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Causes of Carryover |
サンプル合成のための物品費を次年度へ繰り越した。
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