2019 Fiscal Year Annual Research Report
カテキン類とグリシンの加熱反応により生成する未知化合物G1-G4の構造解析
Project/Area Number |
19K23662
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
野田 響子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 基幹研究院研究員 (40851374)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2020-03-31
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Keywords | カテキン / グリシン / 褐変 |
Outline of Annual Research Achievements |
カテキン類は、緑茶などに含まれるポリフェノールの一種であり、自動酸化により加熱加工・貯蔵中の色調の変化に影響を与えていることが知られているが、他化合物との反応に関する報告はあまりない。本研究では、カテキン類とアミノ酸の反応による着色現象の機構解明を目的とし、(+)-カテキンとグリシンの加熱反応により生成する未知の色素化合物(G1-G4)について、単離、構造解析を行った。 精製条件検討の結果、G1-G4はいずれも合成吸着樹脂ダイヤイオンHP20に吸着し、ODSには吸着しなかった。そこで、(+)-カテキンとグリシンの反応液をダイヤイオンHP20に供して未反応の基質や塩類を除去後、ODSを用いて極性の低い夾雑物を除去し、ODS-HPLCにて分取することで、G1-G4のそれぞれの溶液を得た。また、精製にあたり、G1-G4は不安定であったため、還元することで安定化を試みた。G1-G4を含む水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、2-ピコリンボランを添加し、DAD-HPLCで分析した結果、2-ピコリンボランを添加した場合、G1-G4の還元体と思われる別のピークがそれぞれ認められた。しかし、これらの還元体と思われる化合物も不安定であり、ODS-HPLCによる分取を行ったが、単離に至らなかった。 これまでに得られたG1-G4の溶液を用いて、質量分析を行った結果、G1-G4のいずれも分子量は647であり、いずれも分子式はC33H29NO13であると予想された。各種NMRスペクトル解析の結果、構造決定には至らなかったものの、G1、G2については、カテキン2分子とグリシン2分子からなる部分構造を持つことが予想された。
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