2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of fundamental properties of plant oil bodies towards development of novel food ingredients
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19K23666
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 統也 京都大学, 農学研究科, 特定助教 (90847261)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | オイルボディ / 植物性素材 / 乳化系 / 泡沫系 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品加工には乳化や起泡など様々な加工機能を有する、卵や乳などの動物性素材が広範に用いられている。しかし、これらの動物性素材の生産には、植物に比べて多量の資源が投入されており、将来にわたり持続可能な社会を構築してゆくには、優れた加工機能を有する植物性素材の探索と、積極的な活用が必要である。本研究では、植物組織中に存在する脂質粒子であるオイルボディの食品素材として利用可能性を探求すべく、様々な植物資源から抽出したオイルボディの基礎的特性の解明を目的としている。 本年度は、アボカド果実、複数の品種の大豆種子に水を加えて磨砕してオイルボディを抽出し、遠心分離により単離することに成功した。また、ココナッツミルクを遠心分離に供することでオイルボディを単離することも試みた。これらのオイルボディの粒子径測定の評価などを行った結果、大豆オイルボディの粒子径はいずれもサブミクロンであるのに対し、アボカドやココナッツのオイルボディは数から数十ミクロンと比較的大きいことが示された。今後、このような物理的特性の違いが、乳化特性や起泡特性にどのように影響するかについて検討を進める。なお、予備的にココナッツオイルボディ分散液の起泡試験を行った結果、室温では泡沫は形成されないものの、氷冷しつつ起泡することで泡沫が形成されることが確認され、優れた起泡機能を有することが期待された。 また、オイルボディ分散液の分散安定性の評価を行ったところ、上部にクリーム状に浮上するもののがあるものの、遊離した油脂はみられなかったことから、オイルボディの粒子径に関わらず、分散液中で構造が保たれることが示された。 今後はこのように単離したオイルボディの化学的特性の解析、乳化特性および起泡特性の多角的な評価を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は、従来扱ってきた大豆だけではなく、その他の植物からのオイルボディの抽出、単離に成功しており、さらにその他の素材に水平展開することも可能である。本研究の試料の調製方法は十分に確立されたといえ、令和2年度も順調に計画を進めることが可能である。また、本年度はオイルボディの物理的特性の評価を主に行ったが、すでに一部で乳化特性および起泡特性の評価系の確立および実際の評価にとりかかっており、研究計画全体での達成度はおおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は様々な植物からのオイルボディの抽出、単離方法の確立ができた。令和2年度は、これらのオイルボディの乳化特性や起泡特性について、体系的な検討を進める。さらに、食感改変機能に関連する、摩擦特性についても解析を行う。また、本年度扱った材料に加えて、その他の植物の種子や果実からのオイルボディの抽出や、種子の発芽の影響の検討、オイルボディの酵素化学的改質についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
情報収集のために参加を予定していた学会への参加を見送った。その分の旅費は次年度、使用する。また、購入を予定していた遠心機は、共通機器で代替可能となった。その分の物品費では令和2年度の予定を繰り上げて行うために乳化や起泡に用いる撹拌器の購入を予定していたが、納品に通常以上の時間を要することが判明したため、当初の予定通り令和2年度に使用する。
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