2020 Fiscal Year Research-status Report
ポリエステル合成微生物における3HBオリゴマー分泌の機構解明
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19K23669
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
後藤 早希 東京農業大学, 生命科学部, 研究員 (70845651)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 3HBオリゴマー / 3-ヒドロキシブタン酸 / ポリエステル合成微生物 / Bacillus / 分泌生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Bacillus megateriumにおける3-ヒドロキシブタン酸(3HB)オリゴマー生産の機構を解明することを目的としている。前年度の研究において、B. megaterium NBRC 15308のオリゴマー生産の経時的変化(96時間)を分析すると、培養前半(24時間目)に蓄積したP(3HB)が、培養後半(48時間以降)に減少し、3-20量体のオリゴマーの分泌が確認された。このことから、菌体内に合成されたP(3HB)が分解酵素によりオリゴマーに分解され、菌対外に分泌されたと推測された。そのため、令和二年度では分解酵素に着目した。 ゲノム情報により、B. megaterium NBRC 15308は “esterase, PHB depolymerase family protein” と予測された3つの遺伝子を有することが分かっている。オリゴマー生産時に、これらの遺伝子が転写しているのか調べるため、培養24時間目の菌体を回収し、RNA抽出を行い、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を行った。その結果、それぞれ増幅がみられ、3つの遺伝子の転写が確認された。 また、一般的に10量体以上のオリゴマーは疎水性が高く、親水性の物質(タンパク質など)と共にオリゴマーが細胞外へと分泌されている可能性が考えられた。そのため、培養液上清を分画分子量100,000の限外ろ過膜を使用して分画を行い、通過画分および非通過画分について、酵素法とESI-TOF-MS分析にてオリゴマー量と重合度を確認した。その結果、約80%のオリゴマーが分画膜を通過し、3量体オリゴマーの存在が確認された。約20%のオリゴマーは分画膜を通過せず、分子量2,000以下の9-20量体のオリゴマーが確認された。このことより、非通過画分のオリゴマーは分子量10万以上の物質と共に存在する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の計画通り、B. megateriumのP(3HB)分解酵素についての研究を行なった。その結果、分解酵素と予測されている遺伝子は、オリゴマー生産時に転写していることが分かった。さらに、限外ろ過膜を使用した分画により、オリゴマーは親水性の物質と共に存在する可能性が見出せ、次年度の研究につながる知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
B. megaterium NBRC 15308の転写が確認された分解酵素について、大腸菌による異種発現・精製を行い、in vitroにおける酵素反応を分析する。また、それぞれの破壊株を作製し、それに伴ったP(3HB) 蓄積量や、オリゴマーの分泌量の変化を確認し、詳細なオリゴマー生産機構を明らかにする。さらに、B. megateriumのタンパク質の分泌や膜構造に着目し、遺伝子発現量の確認や、膜組成の分析により分泌機構の解明を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は予定していた学会に参加できなかったため、次年度使用額が生じた。また、研究期間延長により、次年度へと繰り越した。さらに、次年度は実験を迅速に進めるため、アプリケーションの購入や試薬の使用量も増加する予定である。
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