2019 Fiscal Year Research-status Report
カロテノイド酸化開裂酵素の進化分子工学によるアポカロテノイド多様性の創出
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19K23670
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
古林 真衣子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (90849895)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | アポカロテノイド / カロテノイド / 生合成工学 / 天然化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
アポカロテノイドは多様な生物活性をもつ天然化合物の一群であり、その多くは植物ホルモン・香料・ビタミンなど多彩な機能をもつことから更なる新規分子構造の探索が望まれている。アポカロテノイド生合成の最初のステップは、カロテノイドを切断する「カロテノイド酸化開裂酵素(Carotenoid Cleavage Oxygenase, CCO)」により触媒され、様々な生物種から多様な基質特異性を示すものがみつかっている。本研究では、各種カロテノイドを生合成する組替大腸菌に、異種由来の様々な特異性をもつCCO遺伝子を掛け合わせて発現・進化工学し、天然・非天然アポカロテノイド多様性を生み出すことを目指す。 本年度は、大腸菌でアポカロテノイドを生産するための実験系として、基礎となるプラスミドコンストラクトを構築した。まず、多くの代表的なカロテノイド6つを大腸菌で生産させるためのコンストラクトを作成した。これらのカロテノイド生合成に必要な遺伝子を4種類の生物から集め、最も特異的にカロテノイドを作るようなオペロン構造をデザインした。発現量制御因子を配置することにより、それぞれのカロテノイドにつき、4段階の生産量をしめすプラスミドを作製した。また、これらのカロテノイドプラスミドとCCOを共発現させるためのプラスミドも用意した。具体的には、ミドルコピー・ローコピーのプラスミドを用いて、発現漏れが少なくダイナミックレンジの大きい発現系を整備した。以上、CCO遺伝子に対するカロテノイド活性・選択性を評価するためのプラットフォームが整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目の目標は、大腸菌を用いたCCO機能評価系を構築することにあった。「研究実績の概要」にあるとおり、6種類のカロテノイド x 4 強度、合計24 種類のプラスミドを作成し、そのすべてが目的カロテノイド産物を特異的に生産させることを確認した。この他にも、CCO酵素発現のためのベクター系も完成させた。以上、現在までの進捗状況として、当初の計画通りおおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である来年度は、CCO酵素による多様な新規アポカロテノイド生産にうつる予定である。作成した複数種のカロテノイド経路と、異種由来のCCO酵素とをコンビナトリアルに掛け合わせ、CCO酵素の選択性をマッピングするとともに、多様なアポカロテノイド生産を目指す。さらに、あるカロテノイドに対して活性がみられないようなCCO酵素がみられた場合には、その酵素対象として進化分子工学を行う。これによって、今までに同定されたことのない非天然アポカロテノイドが生産できることも期待できる。
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Causes of Carryover |
当該年度はカロテノイド発現系を多数作成したため、CCO遺伝子全合成を行なわず、当初の計画よりも少ない額での研究遂行が可能となった。次年度は、初年度に予定をしていた遺伝子を全合成する計画であるため、当初の計画よりも多く見積もって請求をした。
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Research Products
(2 results)