2019 Fiscal Year Research-status Report
ニホンカモシカの保全遺伝学的研究とレフュジア仮説の解明
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19K23678
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
伊藤 哲治 酪農学園大学, 農食環境学群, 講師 (70751931)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ニホンカモシカ / 保全遺伝学 / 個体群構造 / 分子系統 / 管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニホンカモシカ(Capricornis crispus, 以下カモシカ)は、日本の固有種、そして特別天然記念物に指定されている野生動物である。現在、各地域個体群において保全遺伝学的研究が充分になされていない。 長野県内や近隣の地域には、4つの保護地域と7つの地域個体群が分布しており、今後のカモシカの保護・管理を進める上で、本地域の保全遺伝学的研究の情報は重要と考えられる。また、本州の中央部に位置する各地域個体群の遺伝的構造を明らかにすることは、国内のカモシカの地域個体群の構築過程および氷河期以降の分散の過程に言及する新たなる知見を得られる可能性がある。本研究は、本地域のカモシカ捕獲個体の試料を用いて、マイクロサテライトDNAおよびミトコンドリアDNAを分析し、「カモシカの保護・管理に有用な情報」を得ること、カモシカの「地域個体群の構築過程」および「氷河期以降の分布拡大の過程」について明らかにすることを目的とする。 2019年度に採集したカモシカの試料のマイクロサテライトDNAおよびミトコンドリアDNAの分析を実施した。その結果、長野県内に複数の分集団構造があることが推察された。これは、カモシカの分散様式と各地域個体群の成り立ちにおいて、関連があることが推察された。 2020年度は、関係者の相談のもと、分析試料数および試料採取地点の範囲を広げて、分析と遺伝子構造の解析を進めていくこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度のマイクロサテライトDNAおよびミトコンドリアDNAの分析は終了した。2020年度の試料の一部は採取済みであり、分析に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の試料の採取および分析を行い、遺伝的な構造を明らかにしていきたい。調査地の範囲を広げることに関しては、調整中である。
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