2019 Fiscal Year Research-status Report
マダイをモデルとした養殖魚の育種-管理-保全に利用可能な高感度個体識別システム
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19K23687
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
澤山 英太郎 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (70846071)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | マダイ / 一塩基多型 / 個体識別 / 次世代シーケンサー / ハイスループット |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、養殖マダイの個体識別や系統識別に利用可能な一塩基多型 (SNP)を得ることを目的として実験を行なった。まず、国内で流通している主要な養殖系統を5系統(各48個体)入手した。この5系統、計240個体からゲノムDNAを抽出し、GRAS-Di解析を実施した。 GRAS-Di解析で得られたSNPはフィルタリングを行い、申請者が開発しているマダイリファレンスゲノム配列にマッピングすることでSNPを得た。各集団98,047から187,568個のSNPが得られ、欠損率やマイナーアリル頻度、ハーディーワインベルグの法則からの逸脱などを指標としたフィルタリングを行い、最終的に各系統で17,216から27,001個のSNPが得られた。これらSNP情報を用いて各集団に共通したSNPを選択したところ、全集団に共通した2,536個のSNPを得ることが出来た。この2,536個のSNPマーカーを母集団として、マイナーアリル頻度が0.3以上で1Mbp以上距離が離れているSNPを選定することで、255個にまで絞りこむことに成功した。なお、本255個のSNPを用いて養殖集団5系統の集団遺伝解析を実施したところ、2,536個のSNPマーカーを用いた場合とほぼ同等の結果を得ることができた。 また、GRAS-Di解析により得られたSNP情報を用い、養殖マダイ系統の遺伝的多様性評価も実施している。遺伝的集団構造解析から、5集団は4つのクラスターに帰属することが明らかとなった。また、連鎖不平衡の崩壊を評価したところ、4系統は類似した結果となったが、1系統で連鎖不平衡の崩壊が非常に緩やかであり、有効集団数が特別に少ないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サンプルの収集とゲノム解析に時間がかかり、SNP情報の取得が年度末となってしまったため、バイオインフォマティクス解析に十分な時間が取れなかった。今年度のなるべく早い時期に追加の解析を行い、プライマーの設計を完了させたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はまず、より詳細なバイオインフォマティクス解析を行い、PCRプライマーの設計を行う予定である。プライマーの設計が終わり次第、本研究で目的としている高感度個体識別システムを稼働させ、有効性の評価を行う予定である。解析に用いるサンプルは既に入手済みである。
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