2019 Fiscal Year Research-status Report
リグニンナノ粒子のハイスループット合成技術の確立と機能化技術の開発
Project/Area Number |
19K23688
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
吾郷 万里子 明星大学, 理工学部, 准教授 (90389172)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | リグニン / ナノ粒子 / エアロゾルフロー / 真球状粒子 / 電極材料 / 複合材料 / メソポア / 未利用バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
初めに,エアロゾル発生装置の選定のため,デモ機を借用して,諸条件下,サンプル作製を行った。この結果,一定の結果が得られたため,エアロゾル発生装置のスペックを決定し,購入に至った。 次に,実験室の電気工事,排気設備等の環境整備と納期に時間を要し,2020年2月には上記装置が納入された。納入後,サンプル合成を開始し,基本的な合成条件を整えるところまでは進行した。現時点では,本手法での合成条件は温度が極めて重要なパラメータであることが示唆されている。溶液の物性の関与について,未着手であり,今後詳細に調査する予定である。一方,合成した粒子の構造と基本物性の評価については,形態観察により,真球状粒子であり,1um程度の粒径を有することが確認された。まだ暫定的な結果ではあるが,本研究の課題の一つである,生産性の向上については,以前と比べ,収率はかなり向上しており,また時間も大幅に短縮できたことから,リグニン真球状粒子の効率的合成が達成されつつある。今後,合成条件に加えて,溶液物性の構造・物性に与える影響を詳細に調査し,合成条件における各パラメータに対してまとめ,効率的なリグニン真球状粒子の合成手法を確立していく。さらに,ソフトテンプレート法を併用した細孔制御による機能化粒子合成については初年度は未着手であるため,今後の検討する。本研究のもう一つの課題である電気特性についても,電気伝導性,比表面積,電気容量などの特性を軸に調査し,電極材料としての展開を図っていく。 なお,4月上旬より,コロナ感染拡大防止のため,教職員,学生ともに登校禁止となり,学内の機器分析センターも休業に入っているため,現時点では研究の進捗がやや遅れていると言わざるを得ない。状況が改善され次第,安全に実験を再開させたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初めに,エアロゾル発生装置の選定のため,デモ機を借用して,諸条件下,サンプル作製を行った。この結果,ある一定の結果が得られたため,エアロゾル発生装置を購入するに至った。(2019年11月) 次に,実験室の電気工事等の環境整備と納期に時間を要したが,2020年2月には上記装置が納入された。2,3月に試運転を始め,サンプルをいくつか調製し,基本的な合成条件を整えるところまでは進行しているが,4月中旬より,コロナ感染拡大防止のため,教職員,学生ともに登校禁止となっているため,現時点では進捗がやや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
登校禁止措置が解除され次第,サンプル合成と条件検討に注力する。当初計画に従って,ナノ粒子合成の重要なパラメータ(温度,溶液物性,ガス流量等)を明らかにし,リグニン真球状ナノ粒子の高効率合成手法を確立する。同時に合成されたナノ粒子の形態観察,スペクトル測定等の分析を通して,ナノ粒子の基本特性の把握に努め,応用展開へつなげる。また,初年度は未着手であるソフトテンプレート法を併用した細孔制御による機能化粒子合成を引き続き検討していく。 リグニン真球状ナノ粒子を用いたアプリケーション例として,熱処理の後,電気特性に関する物性評価を行うため,電気伝導度,分光分析,電気容量特性を調べるとともに,熱処理条件との相関についても,明らかにする。 本研究により,リグニンを用いた超分子構造体形成の基盤技術としての確立を図り,リグニンの利活用のボトルネックである分子レベルの不均一性を克服し,リグニンを原料とするマテリアル利用の拡大に貢献していく。
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Causes of Carryover |
旅費分と物品費が計画に比べ,下回ったため次年度使用額生じた。なお,装置購入の際に,正確な価格が不明であったため,金額を考慮して前倒し請求したことにより,上記差額が生じた。 次年度は,物品費は主に溶媒,ガス類等の消耗品に用いる予定であり,実験が効率的に進行するよう,残金を活用する。
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Remarks |
(2)元所属機関関連ページ
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Research Products
(5 results)