2019 Fiscal Year Research-status Report
高時間分解能・高空間分解能衛星データ融合による圃場単位の水稲生育段階モニタリング
Project/Area Number |
19K23693
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
祖父江 侑紀 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 特任助教 (50844966)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | SENTINEL-2 / MODIS / 衛星データ融合 / リモートセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
インドネシア共和国は世界でも有数の米生産国であるが、気象災害や病虫害による水稲の損害評価や被害対策は、多くが人の手によって行われており、広範囲の圃場を持続的にモニタリングすることが困難である。水稲の生育段階把握のためには、高い時間分解能が望ましいが、同時に対象地の圃場は、非常に小さいものが多いほか、形や間隔も一定ではないことから、比較的高い空間分解能も併せ持つことが重要である。本研究では、インドネシアにおいて、衛星データを使用し、持続的な水稲モニタリング手法の構築とその精度向上を最終的な目標とする。そのために、高空間分解能を持つSENTINEL-2衛星データと高時間分解能を持つMODIS衛星データを組み合わせることで、高時空間分解能を持つデータを作成し、持続的なモニタリングに貢献できるような手法を構築する。2019年度は、以下の項目を実施した。 (1)現地データの収集:対象地であるインドネシア共和国西ジャワ州において、水稲の生育段階が異なる圃場におけるスペクトルデータを収集した。 (2)衛星データの収集:衛星データ解析に用いるためのSENTINEL-2衛星データ及びMODIS衛星データを収集した。この際には、雲の影響が明らかである画像は除外した。 (3)衛星データ融合(ESTARFM)手法の試行:既存のESTARFMによる融合手法を用いて、MODIS衛星とSENTINEL-2衛星のデータ融合(Fusion)を行った。使用した融合手法の提唱論文では、LANDSAT衛星とMODIS衛星のデータ融合であったが、LANDSATよりも時空間分解能が共に高いSENTINEL-2衛星データでも実施可能であることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集、手法の構築の進捗ともおおむね当初の予定通り進んでいる。本研究の手法として用いているFusionの手法はZhuら(2010)によって考案されたESTARFM(enhanced spatial and temporal adaptive reflectance fusion model)である。提唱論文では、解析はすべてENVIとIDLによって行われたが、本研究では、無料で使用可能なPythonを使用した。また提唱論文では空間解像度が30mであるLANDSATと500mのMODISによるデータ融合が行われたが、本解析では2019年に取得された解像度10-20mのSENTINEL-2とMODISによる融合を行った。2019年はSENTINEL-2衛星データの継続的な取得が可能であるため、融合結果とオリジナルのSENTINEL-2データの比較を行った。その結果、ある程度の精度でデータ融合を行うことが可能であることがわかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度に実施したESTARFMによって作成された融合データの精度をさらに検証し、SENTINEL-2衛星データの定期的な取得が困難である2017年への適応を行う。その結果を用いて対象地域における持続的なモニタリング手法を提案する。また、以上の結果を検証し、更なる精度向上のために、合成開口レーダの衛星データ(SENTINEL-1)の適応とその有効性を検討する。合成開口レーダは、能動型のセンサであり、SENTINEL-2やMODISのような光学センサと異なり、雲の影響を受けない特徴がある。雲や大気の状態により、取得可能な衛星画像が極端に限られる場合には、合成開口レーダによる衛星データを併せて使用することができれば、継続的なモニタリングの精度向上に繋げることが出来るのではないかと考えられる。
|
Causes of Carryover |
旅費、謝金が当初の予定より少なく済んだため、次年度予算に充てることとした。次年度は、主に研究成果を発表する際の旅費、投稿論文の英文校閲および投稿料として使用する。
|