2020 Fiscal Year Research-status Report
高時間分解能・高空間分解能衛星データ融合による圃場単位の水稲生育段階モニタリング
Project/Area Number |
19K23693
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
祖父江 侑紀 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 特任助教 (50844966)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | SENTINEL-2 / MODIS / データ融合 / 水稲 |
Outline of Annual Research Achievements |
広範囲におけるイネの収量推定には,衛星データを使用した推定手法が多く活用されている.本研究の対象地であるインドネシアでは,水田の大きさが小さく,作付日が異なるため隣り合った圃場においても生育期間が異なることから,推定には高時間分解能かつ高空間分解能を持つ衛星データが望ましい.本研究では,2つの異なる衛星データを使用して高時空間分解能衛星データを作成し,現地実測収量データと併せてイネの成長曲線を作成し,それを使用して圃場単位における収量推定手法を構築することを目的としている。2020年度に得られた結果は以下の通りである。 ①データ融合:ESTARFMを用いたデータ融合手法を用いて,SENTINEL-2衛星データとMODIS衛星データの融合を行い,高時空間時系列データの作成を試みた.その結果,SENTINEL-2データとMODISデータとの合成を行って作成した合成SENTINEL-2データの相関係数は各バンドで0.68から0.93,これらのバンドから算出された植生指数および水指数はそれぞれ0.92,0.8であった.これらのことから,合成データは収量推定に使用可能であると考えられた. ②合成データを使用した水稲収量推定:合成データを基のSENTINEL-2データと組み合わせて,水稲生育期間の時系列データを作成し,そのデータを基に収量推定式を作成した.推定式作成には重回帰分析を使用し,5群クロスバリデーションによる検証を行った.その結果,R≒0.60,RMSE≒1.30t/haであった. 上記の結果から,2つの衛星データを組み合わせることで,時系列データの頻度を向上させ,イネの圃場単位における収量推定を行うことが可能であると示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドネシアにおいて2017年から2019年の現地観測データおよび衛星データを使用して,圃場単位における収量推定を行うことができた.これらデータの解析を通して,得られた成果は、JpGU(Japan Geoscience Union Meeting)2021(2021/5/30-6/6)において発表予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症に対する取組みにより、2020年3月から研究サイトであるインドネシアへの渡航が出来なくなり,2021年4月現時点に至るまで,現地調査を行うことが困難な状況にあった.そこで,当初予定していた現地調査データと併せた水稲モニタリングの計画を若干変更し,衛星データに重心を置き,衛星データから抽出した反射率の時系列変化から水稲モニタリングを行い,それらのデータを使用してイネの収量推定を行うこととした.なお,現在他のプロジェクトで共同研究を行っているインドネシア側の協力により,各作付期の収量の現地観測データが入手可能である.現在では2017年から2019年におけるデータを使用して3年分の収量推定を行った.今後,新たに使用可能となる2020年,2021年のデータを追加して,精度向上を目指す.また問題点があれば適宜修正していく.また,現時点で対象としているのは乾期作である.今後,同様の手法を利用した雨期作の収量推定を行い,同程度の精度で推定可能かどうかを検証する予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症に対する取組みにより、2020年3月から研究サイトであるインドネシアへの渡航が出来なくなり,2021年4月現時点まで,現地調査を行うことが困難な状況となった.そのため渡航費および調査費として考えていた分が使用不可能な状況となった.今年度の現地調査も難しいと考えられるため,これらの費用はこれまでの解析結果を公開するための学会発表や投稿論文費用として充てる計画である.
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