2019 Fiscal Year Research-status Report
GPC1を標的とした犬の固形腫瘍に対する遺伝子改変T細胞療法の基盤的研究
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19K23705
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 大貴 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 農学特定研究員 (60843216)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 養子免疫療法 / CAR-T細胞療法 / 犬 / 固形腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、抗GPC1キメラ抗原受容体の認識配列のマウスおよび犬、ヒトGPC1における相同性解析を行った結果、これら3種の動物において配列が高度に保存されていることがわかった。次に、抗GPC1キメラ抗原受容体のマウスおよびヒトGPC1リコンビナント蛋白に対する親和性を、Biacoaを用いた生物物理学的相互作用解析により検証した。その結果、抗GPC1キメラ抗原受容体はマウスおよびヒトGPC1に対して、高い親和性を有することがわかり、抗GPC1キメラ抗原受容体を遺伝子導入した改変T細胞は、犬GPC1発現腫瘍に対しても有効性を示す可能性が高いと考えられた。 GPC1強制発現マウス肉腫を移植したシンジェニックマウスに、抗GPC1遺伝子改変T細胞を投与し、腫瘍が消失して120日経過後の4匹の治癒マウスおよび無処置マウスに、GPC1非発現マウス肉腫親株を移植した結果、治癒群では全頭で無処置群に比べ有意に腫瘍増殖が抑制された。この結果から、固形腫瘍に対する遺伝子改変T細胞療法では、標的抗原以外の内在性腫瘍抗原に対する免疫応答の強力な増強作用(抗原拡大)があり、長期の免疫記憶を形成することで、抗原消失を克服し、強力な抗腫瘍効果を示す可能性があると考えられた。 さらに、犬遺伝子改変T細胞を作製するために、犬末梢血単核球を、種々の細胞密度、増殖サイトカイン、刺激薬にて培養し、増殖および細胞寿命の検証、T細胞の表面抗原解析を行った。この結果、長寿命のCD8陽性細胞傷害性T細胞を大量に作製できる培養条件が決定され、今後、遺伝子導入条件を検討することで、犬遺伝子改変T細胞の作製ができることが期待された。さらに、GPC1以外の犬遺伝子改変T細胞療法の標的抗原を探索したところ、HER2およびPDPNが犬固形腫瘍において特異的に発現し、新たな標的抗原になる可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗GPC1遺伝改変T細胞の固形腫瘍に対する有効性の実証および抗原拡大作用などの遺伝子改変T細胞の新たな抗腫瘍機序の解明がされた (kato D et al., GPC1 specific CAR-T cells eradicate established solid tumor without adverse effects and synergize with anti-PD-1 Ab. elife. 2020)。犬遺伝子改変T細胞の作製のための基盤的検討の一部が終了し、HER2やPDPNといった新規標的の同定にも成功した。これらの研究成果は、学術論文として国際誌に採択され、国際学会から招待講演を受けるなど、国内外から高く評価されており、本研究は順調に進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
犬T細胞への遺伝子導入条件を検討し、抗GPC1犬遺伝子改変T細胞を作成する。さらに、犬新鮮組織をもとに犬GPC1遺伝子を増幅し、シークエンスを行い、完全配列を決定する。それをもとに、犬GPC1強制発現細胞株を作製し、抗GPC1犬遺伝子改変T細胞の機能実験を行うとともに、犬固形腫瘍パラフィン包埋ブロッックを用いた網羅的な犬GPC1発現腫瘍の探索を行う。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] 犬移行上皮癌における腫瘍免疫微小環境の解析と関連因子の探索2019
Author(s)
衛藤翔太郎, 佐伯亘平, 吉竹涼平, 加藤大貴, 坪井誠也, 吉本翔, 品田真央, 池田凡子, 嘉本諭, James Chambers, 内田和幸, 西村亮平, 中川貴之
Organizer
第19回生命科学シンポジウム
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