2020 Fiscal Year Annual Research Report
GPC1を標的とした犬の固形腫瘍に対する遺伝子改変T細胞療法の基盤的研究
Project/Area Number |
19K23705
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 大貴 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 農学特定研究員 (60843216)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 腫瘍免疫 / 犬 / 固形腫瘍 / グリピカン1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マウスモデルで得られた結果を発展させ、抗GPC1に対する犬T細胞を用いた遺伝子改変T細胞療法開発のための基盤となるデータを得ることを目的とした研究である。 当初、本年度は、培養細胞株を用いた犬遺伝子改変T細胞のin vitroでの作製やin vivoでの有効性の検証を予定していた。しかし、今年度初頭より、急激に流行した新型コロナ感染症に対する対策により、研究遂行面での大きな制約を受けた。申請者の所属する大学では、1度目の緊急事態宣言に伴い、数ヶ月間にわたって研究室での実験停止、in vivo実験など長期間かかる実験の計画変更をするよう通達があり、約半年間、実験室での十分な研究活動が困難であった。そこで、臨機応変に、在宅勤務にて遂行できるデータ解析や短期間で遂行可能な実験などに、変更し、本研究目的の遂行に努めた。その結果、犬の悪性固形腫瘍のパラフィン包埋ブロックなど臨床検体の解析により、GPC1以外に、犬遺伝子改変T細胞療法の標的になる分子として、PDPNおよびHER2を新たに同定することに成功した。PDPNは、犬悪性黒色腫や扁平上皮癌などに、HER2は犬膀胱癌や肺腺癌、肛門嚢腺癌などに発現していることを明らかにし、犬PDPNやHER2に結合性を示すモノクローナル抗体配列を入手した。また、入手した犬PDPN抗体は、実験犬や症例犬への投与においても副作用を認めないことを確認できた。この成果により、犬PDPNやHER2に対する遺伝子改変T細胞の作製が可能となり、GPC1と組み合わせることで、様々な種類の犬固形腫瘍種が、遺伝子改変T細胞療法の適応腫瘍とすることができるという、大きな発展につながった。上記の成果は、国際誌に4本の原著論文として、掲載された。現在、GPC1やPDPN,HER2を標的とした犬遺伝子改変T細胞を作製し、安全性や有効性の検証を進めている。
|
Research Products
(5 results)