2019 Fiscal Year Research-status Report
様々な動物を対象としたベータコロナウイルス-1種に対する疫学調査
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19K23706
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中川 敬介 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (90853250)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ベータコロナウイルス1種 / 疫学調査 / ウイルス分離 / 動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベータコロナウイルス-1種(β1CoVs)は、牛、馬、犬、人などを宿主とする複数のコロナウイルスより構成されている。β1CoVsの共通性状として、鳥類と哺乳類に共通して存在するシアル酸を受容体として利用する事が分かっており、この知見はβ1CoVsが潜在的に幅広い宿主域をもつ事を示唆している。そこで研究代表者は「既知の感受性宿主以外の動物にもβ1CoVsが感染しており、家畜へのβ1CoVs感染の病原巣となっている」という仮説を立て、様々な動物の糞便よりβ1CoVsの検出を試み、本ウイルス種の生態・流行動態を解明する事を本研究の目的とした。 2019年10月より研究をスタートして以来、岐阜県中央家畜保健衛生所ならびに民間動物病院の獣医師らの協力により、現在までに牛由来サンプルが100、犬ならびに猫由来サンプルが400、鶏由来サンプルが50ほど収集する事が出来た。これらのサンプルは、ライブラリー化し研究代表者が所属する研究室にて保管されている。また、牛コロナウイルスを陽性対照としたPCRにより、β1CoVsに共通する遺伝子配列(N遺伝子)を増幅するプライマーが機能する事を確認した。現在、収集されたサンプルより、β1CoVs遺伝子の検出を試みており、検出された遺伝子の系統解析も並行して行なっている。また、PCRの結果が陽性となったサンプル2検体(牛由来サンプル)より、ウイルスの分離に成功した。このように、本研究は当初の研究計画から逸脱する事なく遂行されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
岐阜県中央家畜保健衛生所ならびに民間動物病院の獣医師らの協力により、2019年度内に相当数の糞便サンプルを収集する事が出来た。また、牛コロナウイルスを陽性対照としたPCRにより、研究代表者が設計したβ1CoVsを網羅的に検出できるプライマーが実際に機能する事を確認した。現在、収集されたサンプルを用いてPCRを実施しており、検出された遺伝子の系統解析も実施している。また、PCRの結果が陽性となった糞便サンプルより、ウイルス分離を試みた結果、2株のウイルス分離に成功した。以上より、当初計画していた実験計画に準じて、本研究は遂行されていると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに牛由来サンプルが100、犬ならびに猫由来サンプルが400、鶏由来サンプルが50ほどが収集済みである。今後も、様々な動物から糞便サンプルを収集する予定である。また、これらサンプルからのβ1CoVs遺伝子の検出ならびに系統解析も継続する。今後、分離に成功したウイルス株数が蓄積してきたら、それらウイルス株の全塩基配列を次世代シークエンサーより決定し、さらに詳しい分子・進化系統解析を実施する予定である。このように、当初の研究計画を遂行する上での問題点は存在せず、最終年度も計画通りに研究を進めていく。
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