2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞内小胞輸送におけるイノシトールリン脂質の包括的解析
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19K23712
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
馬場 崇 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90609992)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | イノシトールリン脂質 / エンドサイトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内小胞輸送は、タンパク質の分泌や様々な細胞内小器官への局在化やを担っている。これまで小胞輸送を担うさまざまな被覆小胞が単離され、その形成に必要なタンパク質因子群の機能解析は詳細に行われてきた。一方で、小胞形成に同様に重要である脂質膜に関しては未だ解析の余地が残っている。これは脂質成分を特定の小区画において迅速かつ定量的に測定することが困難であったことが大きな要因として考えられる。最近申請者は、生物発光共鳴エネルギー移動 (BRET) の原理を応用し、エンドソームのイノシトールリン脂質をライブモニタリングする実験系を開発した (Baba, T. et al. 2019 EMBO J) 。本研究の目的は、BRET及びFKBP12(FK506 binding protein)/FRB(FKBP12-rapamycin binding)ドメインの二量体化による脂質分解系をさまざまなオルガネラに応用することによって、小胞輸送における脂質及び代謝酵素の役割を分子レベルで明らかにすることである。 本年度は、細胞膜のエンドサイトーシスにおけるイノシトールリン脂質の役割の解明を行なった。PI(4,5)P2を産生するPIP5Kは哺乳類では3種類存在するが、そのうちの一つはGタンパク質共役型受容体であるアンジオテンジン受容体のリガンド刺激に伴うエンドサイトーシスを抑制することをRNAi法及びBRETを利用し見出した。3種のPIP5Kは細胞膜に局在しているにも関わらず、異なる役割を持つことが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞膜のPIP5Kの役割に関して新たな知見が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きイノシトールリン脂質の輸送小胞形成における役割の解明を進めていく。最終年度であるため、今後の発展に繋がる結果を得たい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由はコロナ禍で学会発表や出張がなくなったことや異動による研究活動の一時的中断があったためである。次年度の使用計画は物品費に使用予定である。
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