2019 Fiscal Year Research-status Report
母・娘中心小体間結合の制御機構とその破綻による疾患発症機構の解明
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19K23718
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 紘己 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任研究員 (70848902)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 中心体 / 中心小体間結合 / 中心体複製 / 染色体分配 / 細胞生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
中心体は分裂期における二極化した紡錘体の形成、染色体分配において重要であり、中心体の構築異常や機能不全は、がんや小頭症、繊毛病など様々な疾病の原因となることが報告されている。中心体の構造はその核として機能する母・娘中心小体とそれを取り囲む中心体マトリクスから構成されている。中心体複製においては母中心小体から一細胞周期に一度だけ娘中心小体が一コピー複製される。複製された娘中心小体は間期/分裂期を通して母中心小体に近接して存在し、細胞分裂の後に母・娘中心体間結合は消失する。この母・娘中心体間結合の消失は、前の細胞周期において娘であった中心小体が母中心小体として複製能を獲得するためのライセンシング機構として重要である。また、分裂期における母・娘中心体間の早期分離は、異所性の微小管形成中心を誘発し、染色体分配異常の原因となる。このように、中心小体間結合の維持および消失は適切な中心体複製とゲノム安定性維持に必須であるが、その機構は未解明な点が多い。 本研究では、間期の母・娘中心小体結合に関与する新規中心体因子を同定した。新規中心小体間結合因子を発言抑制した細胞では、間期のうちに母・娘中心小体が早期に分離し、分離した中心小体が過剰に複製することを見出した。さらに、分離した中心小体および過剰複製した中心小体は、分裂期において異所的な微小管形成中心として働き、染色体分配異常を誘発することを明らかにした。また、超解像度顕微鏡を用いて、新規中心小体間結合因子およびその周辺因子の中心体における詳細な局在解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要に記載した内容を踏まえて、母・娘中心小体間結合とその破綻による影響に関して非常に理解が進んだ。特に、微小空間における新規中心小体間結合因子とその周辺因子の詳細な局在マッピングは、中心小体間結合形成がどのような分子複合体により達成されるのかを明らかにする上で本年度の研究の基盤になるものであり、本課題は概ね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で新たに同定した中心小体間結合因子が具体的にどのような分子複合体を形成し、母と娘中心小体間の結合を支持するかを解析する予定である。また、その新規中心小体間結合因子は疾患原因遺伝子として報告されており、疾患との関連も含めて研究を行う。
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