2023 Fiscal Year Annual Research Report
アスガルド古細菌に探る細胞形態の制御機構の分子進化
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19K23727
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
千住 洋介 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 研究准教授 (90536848)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 生体膜 / 構造生物学 / 分子進化 / 真核生物起源 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的 真核生物が原核生物からどのように生じたのかは今のところよく分かっていない。しかし、アスガルドアーキアが真核生物と同様な細胞機能をすでに獲得していたことが分かれば、真核生物と原核生物のミッシングリンクを埋める可能性を秘めている。メタゲノム解析の結果から、真核生物に相同性を持つ細胞形態を制御するタンパク質がアスガルドアーキアでも見出されている。つまり、細胞膜の形態形成機構が、真核生物のみならず原核生物にも共通して保存されていることを示唆する。したがって、アスガルドアーキアに見出された細胞形態を制御するタンパク質の結晶構造を解き、機能を解明することで、細胞膜の形態変化に代表される生命システムがどのように進化してきたかを解明する。
研究の成果 [Step1] アスガルドアーキアで見出された細胞形態を制御するタンパク質の人工遺伝子合成をした。[Step2] タンパク質の発現・精製をした。[Step3] 緑色蛍光タンパク質 (GFP) を融合したアスガルドアーキアの細胞形態を制御するタンパク質を細胞で発現させ、細胞膜の形態が変化するか調べるとともに、どのような細胞内構造に局在するか明らかにした。[Step4] タンパク質の結晶化条件のスクリーニングを行い、結晶を得た。[Step5] 大型放射光施設SPring-8のビームラインを用いることにより、X線結晶構造解析を試みた。得られたX線回折データから立体構造を明らかにした。また、リン脂質との結合に必要なアミノ酸残基の保存性を考察した。[Step6] 精製したアーキアの細胞形態を制御するタンパク質を蛍光標識し、巨大脂質膜リポソーム (GUV: Giant Unilamellar Vesi cle) に作用させることで、脂質膜に結合することを明らかにした。
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