2019 Fiscal Year Research-status Report
"Dead-cells-derived anti-aging-signal model" and its clinical application
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19K23738
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西澤 弘成 東北大学, 医学系研究科, 学術研究員 (30846655)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 脂質過酸化 / 転写因子BACH1 / フェロトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄依存性の細胞死であるフェロトーシスを起こした細胞から老化抑制物質が分泌されることを検証している。特に、フェロトーシスを誘導した細胞の培養上清を使用して、別の細胞を培養し、その細胞老化への影響を検討している。 2019年度の研究実績としては、フェロトーシス細胞から分泌されて他細胞へ影響を及ぼす物質として、過酸化脂質(もしくはその誘導物質)とFGF21、GDF15などの生体内で内分泌因子として働く蛋白質の、少なくとも2グループがあることが分かった。 このうち、過酸化脂質については、細胞老化への影響ははっきりしないが、オートファジーの惹起などの影響を他細胞へ及ぼすことが明らかになった。これは、種々のフェロトーシス関連疾患の病態において、フェロトーシス細胞から分泌される過酸化脂質が病変拡大に関与することを示唆している。これは、細胞生物学的にフェロトーシスへの理解を深めるのに加え、医学的にもフェロトーシス関連疾患の病態解明を進める結果だといえる。近日中に投稿予定である。 一方、細胞外分泌蛋白質を介しての、細胞老化への作用に関しては、上記の過酸化脂質の影響を取り除くことで正確に検討できる可能性が見出されつつある。これについても条件検討の目処がつき、2020年度中には結果が判明する予定である。 その他、老化関連形質として、肥満と短命に注目し、フェロトーシス細胞からの分泌蛋白質がこれらに影響を及ぼすかどうかをそれぞれマウスモデルを用いて検討し、フェロトーシス促進因子であるBACH1の有無によって、これらに差があることが概ね明らかになった。 更に、本研究の前提となった「転写BACH1によるフェロトーシスの促進機構」に関する研究成果が2019年度に誌上で公開された (Nishizawa H.,et al. J Biol Chem. 295. 69-82. 2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前提研究の論文(Nishizawa H.,et al. J Biol Chem. 295. 69-82. 2020)が採択され、本研究推進に当たっての大きな進歩となった。また、フェロトーシス細胞から分泌される物質のうち、過酸化脂質(またはその誘導体)の方の影響については概ね実験結果がまとまり、近日中に投稿できると考えている。 更に、研究計画の中心であった、フェロトーシス細胞からの内分泌因子による老化抑制作用の検討についても実験条件の検討と検体の準備が少しずつ進んでいるため、進捗状況について上記の判断とした。
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Strategy for Future Research Activity |
フェロトーシス細胞からの脂質過酸化反応の伝播について、結果をまとめて近日中に報告することを目標としている。更に、フェロトーシス細胞から分泌される内分泌因子の影響についても、細胞老化、肥満、寿命それぞれで検証を引き続き、進めていく。現時点で、研究遂行上の課題はないが、予想外の結果が出るなどがあれば、研究協力者(五十嵐、松本)の助言も受けつつ、適宜仮説、解釈を修正する予定である。
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