2020 Fiscal Year Research-status Report
ゼブラフィッシュ胚正中軸組織における協調した伸長機構の力学的解析
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19K23741
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河西 通 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (80830752)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 組織伸長 / 体軸伸長 / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
組織の伸長は、胚体内の様々な部位や器官で見られる重要な発生現象である。例えば、体軸伸長によって頭尾軸方向に伸びた体幹が形成され、肢芽の伸長によって長軸方向に発達した四肢が発達する。これらの伸長する器官は単一の組織によるものではなく、一般に表皮、筋肉、骨組織など複数の組織によって構成されている。しかし、伸長する複数の組織がいかに協調して長さを揃えているのかについては、ほとんど解明されていない。 申請者はゼブラフィッシュ胚の体軸伸長プロセスにおけるfloor plate(FP)と脊索の協調した伸長現象に着目し、これらの組織が協調して伸長するメカニズムを明らかにする。とくに本研究ではFPと脊索の力学的特性に着目し、計測および摂動実験によってその機構の一端を明らかにする。 本年度では、前年度においてFPの伸長現象に関わることが示唆された細胞移動について、薬剤および遺伝子発現による攪乱によりその機能をより詳細に調べた。前年度においていくつかの薬剤がFPの細胞移動を阻害するということが示唆されていたが、全胚を用いた実験では結果が安定しなかったため、より薬剤が浸透しやすいと考えられる単離尾部組織を用いた実験に切り替えることとした。一方、細胞移動に関与することが予想される遺伝子をコードしたプラスミドやmRNAの顕微注入を行ったところ、予想に反しFPの細胞移動をうまく乱すことができず、現在に至るまで難航している。 続いて、FPの細胞移動現象をより詳細に記載するため、ゴルジ体やERなどの細胞内小器官の分布を調べたほか、電子顕微鏡撮影も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FP細胞の攪乱実験の条件検討に予想以上の時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに確立した単離尾部組織の系を用いて、薬剤処理による細胞移動の阻害実験により、組織伸長への影響を定量的に評価していく。
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Causes of Carryover |
本年度に計上していた共同研究のための海外出張に関わる費用について、研究の進捗状況から本年度ではなく次年度に重点的に行うことにした。
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Research Products
(1 results)