2019 Fiscal Year Research-status Report
鏡ー緒方症候群におけるPEG11のin vivoノックダウン治療法の開発
Project/Area Number |
19K23744
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
北澤 萌恵 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (40801965)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | Peg11/Rtl1 / 真獣類特異的遺伝子 / 骨格筋 / miRNA / ゲノムインプリンティング疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は指定難病疾患であるヒト14番染色体父親性二倍体症候群(Kagami-Ogata症候群)の発症機序の解明を通じて新規治療法開発の可能性を探ることである。Kagami-Ogata症候群は胎盤過形成、腹直筋乖離、肋骨形態異常を伴う呼吸不全による新生児致死を特徴とするヒト先天性疾患であり、Peg11/Rtl1の過剰発現が主な原因であると考えられているが、有効な治療法はない。そこで、この疾患の症状の一つである骨格筋異常に着目し、Peg11/Rtl1の筋肉形成・維持における機能解析を行うとともに、疾患モデルマウスであるPeg11/Rtl1過剰発現マウスにsiRNAを投与することにより治療の有効性を検証する。 まず、Peg11/Rtl1欠損および過剰発現マウスの胎児・新生児の解析から、Peg11/Rtl1は胎児期から新生児期の骨格筋で時期特異的に発現していること、Peg11/Rtl1欠損・過剰発現マウスの新生児では呼吸に重要な筋肉である肋間筋・横隔膜・腹壁の筋線維で構造異常がみられること、Peg11/Rtl1タンパク質は筋線維の強化・収縮に関わるタンパク質と共局在することを明らかにした。これらのことから、Peg11/Rtl1の過剰発現がKagami-Ogata症候群における呼吸不全、腹直筋乖離の主な原因であることが示唆された。 次にマウスの胎児にsiRNA投与することでPeg11/Rtl1をノックダウンし、in vivoにおけるsiRNAの効果を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Peg11/Rtl1欠損および過剰発現マウス筋肉の解析から、Peg11/Rtl1が胎児期の筋肉の発生に重要であることを示した(論文投稿中)。 野生型マウスの胎児卵黄嚢内にPeg11/Rtl1 siRNAを投与すると、Peg11/Rtl1欠損マウスに類似の発育遅延を示す胎児が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
Peg11/Rtl1 siRNAがin vivoで効果を示す結果が得られたため、今後はこのPeg11/Rtl1欠損樣マウスの詳細な解析を行うとともに、投与siRNA濃度の条件検討を行う。そして、Peg11/Rtl1過剰発現マウスにsiRNAを投与し、PEG11/Rtl1のノックダウンと表現型の回復を試みることで治療法の開発を進める。具体的にはPeg11/Rtl1過剰発現マウスの致死性の回復を観察し、胎盤および筋線維におけるPeg11/Rtl1の発現量の低下と両組織での異常構造の回復を確認する。
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Causes of Carryover |
産前産後休暇・育児休暇を合計4ヶ月取得し、研究を中断していたため次年度使用額が生じた。 申請書に記入した研究内容を着実に遂行することで使用する。
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Research Products
(1 results)