2019 Fiscal Year Research-status Report
超広視野2光子顕微鏡を用いた大脳新皮質運動野における領域間情報処理機構の解明
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19K23772
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺田 晋一郎 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (40847274)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | システム神経科学 / 脳計測科学 / 2光子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、SI-ET(自発レバー引き―外発キュー誘導性レバー引き)課題遂行時のマウスM2, M1細胞集団活動の活動ダイナミクスについて明らかにするため、SI-ET課題遂行中のマウスM2およびM1神経活動の超視野2光子顕微鏡(Terada et al., Nat. Commun., 2018)による同時計測について実施した。SI課題とET課題は同一セッション中に入れ替えわるようにしておき、30分程度のイメージング期間で複数回の課題状況の入れ替わりが観察できるようにした。マウスは頭部固定された状態でも4週間程度の訓練で本課題を習得した。また、抑制実験を用いることで、本課題においてM2及びM1の必要性について明らかにした。 実際にイメージングを実施するに当たり、課題遂行時の素早い神経活動変化を捉えるため、超視野2光子顕微鏡の動作機構について改良を加えることで、これまで秒間6枚程度であった画像取得速度を倍近い秒間10枚程度にまで高速化し、より詳細な活動変化について取得可能とした。さらに、動物の体動についても2台の高速カメラを用いてビデオ記録しておき、深層学習を用いたトラッキングアルゴリズムを用いて詳細な運動の再構成を行った。 上記によって得られたデータに対し、M2、M1の集団神経活動および体動データそれぞれに機械学習を用いた課題種別の判別分析を実施し、SI課題とET課題で領域毎にどの程度活動が分離しているのかについて検討した。その結果、M2は課題種別の変更への適応時に、M1に先行した活動の再編成を示すことが明らかとなった。また、これら差異は体動の差異からは説明できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定されていた実験は順調に遂行されており、さらに次年度以降に予定されているこれら回路内での情報の変遷や、その上流、下流についてのイメージングも既に進行中であり、当初の計画以上に進呈していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
取得されたデータについてさらなる詳細な解析を進めるとともに、M2-M1間の神経活動の多角的な計測を進め、その情報処理過程についてさらなる検証を進める。
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Causes of Carryover |
機器の改良が当初想定より順調に進んだため、試作の繰り返しに伴う部品代等が余剰金となった。これら資金については、次年度以降に予定されているM2-M1間での投射活動のイメージング実験等に加え、各領域の層構造間の差異の検討等、追加でのイメージング実験に対する費用に当てる予定である。
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