2019 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病の凝集体形成に着眼した病態解明と新規薬剤の開発
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19K23782
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
野田 幸子 順天堂大学, 医学部, 助手 (00846371)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 凝集体 / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、凝集体の形成を抑制した際に神経細胞死が予防されることを証明することにより、神経細胞死の原因を明確なものにすること、さらに、この課題解決のために獲得した有用薬剤を創薬に繋げることである。本年度は、樹立したパーキンソン病モデルマウスを利用して凝集体形成抑制効果の判定を実施し、これまでの研究過程で確立したパーキンソン病モデルマウスの評価基準である、行動試験(ビーム課題等)、ドーパミン染色による細胞カウント、ドーパミン定量の組み合わせによる独自のパーキンソン病判定を行った。凝集体形成の初期段階である離乳直後の若齢マウスを用いて選択したタウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)を1日1回、250μl/g(体重)で10日間連続経口投与を行った。無治療群にも同様に生理食塩水を10日間連続経口投与した。その結果、行動試験では変化はみられなかったが、ドーパミン染色による細胞カウントでは変化がみられた。細胞カウントは、単位面積当たりそれぞれ10ヶ所カウントし、単位面積内のp62陽性顆粒の面積を測定した。生理食塩水投与の無治療群(n=191)の顆粒面積平均と有用薬剤TUDCA投与の治療群(n=303)の顆粒面積平均を比較し検定を行った。検定結果、治療マウスの黒質のp62陽性細胞数は増加し、細胞あたりのp62凝集体数は増加しており、p62陽性凝集体面積は減少していた。つまり、有用薬剤TUDCAによる治療によりp62凝集体が細切れに増加し、細胞あたりのp62凝集体の数が減り、しかも面積が小さくなっていることが分かった。現段階では、治療・無治療のマウスの比較数が少なく結論づけはできないが、よい傾向を示していた。次年度では、投与期間を3か月に延長し、ドーパミン染色による細胞カウントを行う予定である。また、これとは別に胎生期での凝集体の蓄積を測定し薬剤の効果を確かめる工夫を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に立案した計画に沿って、すでにヒトに対して効果のあることが知られている既知の化学合成シャペロンをパーキンソン病モデルマウスに経管を用いて直接胃に投与してin vivoにおける凝集体抑制効果を判定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、本年度で得た凝集体形成抑制効果を有する薬剤を候補とし、それらにドーパミン細胞に親和性の高いリード化合物と連結させることによりドーパミン細胞を選択的に標的とする新規化学合成シャペロンを開発する。具体的にはドーパミン細胞特異的に発現が見られるドーパミントランスポーターに親和性の高い化合物をリードとしてlinker分子で結合させることにより修飾薬剤を作製・投与し凝集体抑制による神経保護効果を判定する。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた、測定キットの購入費が少なく済んだため。また学会参加費、旅費が不要であった。次年度は、継続実験に必要な測定キットと試薬の購入を計画している。
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Research Products
(6 results)