2019 Fiscal Year Research-status Report
ジアルキルアミノ基を凌駕する新規な中性π電子供与基の開発と機能性分子への応用
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19K23798
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤田 光 金沢大学, 先端科学・社会共創推進機構, 博士研究員 (40782850)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 電子供与基 / ジアルキルアミノ基 / 機能性分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
芳香環への電子供与基の導入による共鳴効果を介したπ系電子密度の増加は,有機化学の基礎的概念の1つに数えられる。古くから「電気的に中性な最強のπ電子供与基」としてジアルキルアミノ基が知られており,蛍光色素や有機分子触媒,配位子,ポリマーなどπ系電子密度の制御が重要な機能性分子に長く利用されてきた。ところが現状では,ジアルキルアミノ基がπ電子供与基の上限となっていることから,機能性分子の設計には制限がもたらされている。そこで本研究では,新たな発想に基づき,ジアルキルアミノ基を凌駕する新規な中性π電子供与基を開発する。これにより,従来のπ電子密度制御法の限界を突破することで,新規機能性分子の開発を展開することが可能になると考えられる。 まず,考案した新規中性π電子供与基を芳香環へ導入する方法について検討する。この際,新規中性π電子供与基に構造的多様性を与えられるような合成戦略を計画する。その後,新規中性π電子供与基の構造の違いがπ電子供与性にどのような影響を与えるのかについて明らかにする。従来型のジアルキルアミノ基と比較して,π電子供与性がどう異なるかを詳細に検討し,あわせて分子としての物理化学的な性質についても調査を実施する。続いて,新規中性π電子供与基を導入した機能性分子の合成を行う。その性能について,ジアルキルアミノ基を有する従来型の機能性分子と比較し,π電子供与性の違いが機能性に与える影響について解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
芳香環に対し,様々な構造の新規中性π電子供与基を導入する方法を見出した。その結果,一連の構造的多様性を持つ化合物群の合成に成功している。さらに,光学的な手法によりπ電子供与性を定量化し,ジアルキルアミノ基との比較を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
芳香環への新規中性π電子供与基の導入法について更に検討を継続するとともに,機能性分子への導入とその性質の解明を行う。
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Causes of Carryover |
初年度では予想より安価な試薬を用いた化学合成法を発見したため,次年度使用額が生じた。次年度では分子構造の複雑さが増した機能性分子の合成を計画しており,より高価な合成原料や誘導体化試薬を購入する見込みが大きいため,これに次年度使用分を充てる。
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