2020 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージにおける Tofacitinib の新規作用機構の解明
Project/Area Number |
19K23805
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
水野 夏実 北海道医療大学, 薬学部, 講師 (40738621)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | トファシチニブ / マクロファージ / MHCII / CIITA / IFN-γ |
Outline of Annual Research Achievements |
トファシチニブはヤヌスキナーゼ阻害薬として リンパ球の増殖・分化を抑制する抗リウマチ薬である.間接リウマチでは T 細胞から産生される IFN-γ などの炎症性サイトカインによってマクロファージが活性化すると,炎症反応が増悪化する.また,マクロファージは抗原提示分子 (MHCII) を介した抗原提示と同時に共刺激分子 (CD86)を介したT 細胞への刺激によって免疫応答を惹起する免疫応答の司令塔である.一方で,トファシチニブのマクロファージに対する影響についてはほとんど明らかにされていない.本研究では,マクロファージにおける CD86, 及び MHCII の発現に対するトファシチニブの影響を解析した.その結果, IFN-γ 刺激により CD86 及び MHCII の細胞表面発現が増加した.このIFN-γ 刺激によるCD86, MHCII 両分子の発現増加に対してトファシチニブは, CD86 発現を低下させ,一方, MHCII 発現を増加させた.さらにこれらの TOF による CD86 及び MHCII 発現への影響は mRNA レベルで制御されていることを明らかにした. また,結果的にトファシチニブ存在下 IFN-γ 刺激は CD86 陰性 MHCII 陽性マクロファージを誘導することを見出した.共刺激分子 (CD86) を欠いた状態での MHCII を介した抗原提示は,免疫不応答を引き起こすことが知られている.間接リウマチの炎症病態下におけるCD86陰性MHCI陽性マクロファージの誘導がトファシチニブの新たな抗リウマチ作用の一つとして寄与する可能性が推察された.
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