2019 Fiscal Year Research-status Report
レプチンによるスフィンゴ糖脂質発現を介した炎症病態メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K23806
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
新田 昂大 東北医科薬科大学, 薬学部, ポスト・ドクター (30847976)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | グロボ系スフィンゴ糖脂質 / レプチン / 糖尿病性腎症 / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪細胞から分泌されるレプチンは、視床下部に作用することで、食欲を抑制する抗肥満ホルモンとして同定された。近年、レプチンは免疫細胞や末梢組織に作用することで、様々な疾患の病態形成に関与することが明らかとなってきたが、その詳細なメカニズムの全容解明には至っていない。申請者は最近、レプチンによって腎臓のグロボ系糖脂質発現が誘導されることを見出した。また、マウスモデルを用いた糖尿病性腎症の解析においては、腎臓のグロボ系糖脂質発現が顕著に変化すること、培養細胞を用いた解析においては、マクロファージがグロボ系糖脂質によってその活性が促進されることを報告している。本研究では、糖尿病性腎症の病態形成に関与するグロボ系糖脂質のレプチンによる発現誘導メカニズムを解明する。 今年度は、レプチンによって誘導される腎糖脂質発現がどのような経路によるものか明らかにするために、レプチン受容体floxマウスを導入し、組織特異的欠損マウスの解析に着手した。腎特異的レプチン受容体欠損マウスに必要なCreマウスに関しては、コロナの影響でまだ導入予定は未定であるが、脳特異的レプチン受容体欠損マウスに関しては、すでに導入済であるため、こちらの解析準備を行っている。 また、レプチンシグナルによって発現変化する糖脂質合成酵素遺伝子並びに分解酵素遺伝子を同定した。この遺伝子発現変化に関しては、複数のモデルマウスにおいて同様の結果が得られている。 さらに、これまでに本研究課題で得られた結果に基づき、国内の学会で口頭発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織特異的レプチン受容体欠損マウス解析のために、レプチン受容体floxマウスを導入し、脳あるいは腎臓で特異的にレプチン受容体を欠損させ、その糖脂質発現への影響解析のための準備に着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、組織特異的レプチン受容体欠損マウスの腎臓について、脂質解析を行うことで、糖尿病性腎症の病態形成に関与する糖脂質が、どのような経路で誘導されるのかを明らかにしていくとともに、腎臓のどの部位で糖脂質が誘導され、病態に関与するのかを組織学的解析によって明らかにしていく。 また、今回レプチンによって発現が大きく変化する糖脂質合成酵素遺伝子を同定することができた。したがって、今後はその発現が誘導されるレプチンシグナル伝達系について、各種シグナル伝達系の阻害剤を併用することでその詳細を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により海外から導入予定であったマウスの購入が本年度は困難であったため、次年度使用額が生じた。 次年度以降、新型コロナウイルスがある程度収束し、マウス購入が安全な状態で可能になった時点で、導入予定である。
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Research Products
(1 results)