2019 Fiscal Year Research-status Report
植物由来ステロイド配糖体のミトコンドリア非依存的アポトーシス誘導メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K23809
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
井口 巴樹 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (90847120)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ステロイド配糖体 / 天然物 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ミトコンドリア非依存的に腫瘍細胞をアポトーシスに誘導する天然物由来ステロイド配糖体の作用メカニズムの解明を目的としている。申請者はこれまでに、臨床現場で使用されているエトポシドやシスプラチンなどの既存の化学療法薬は腫瘍細胞に対してミトコンドリア依存的にアポトーシスを誘導することを明らかにしてきた。一方、申請者が見出した新規ステロイド配糖体はミトコンドリア非依存的に腫瘍細胞をアポトーシスに誘導することを明らかにした。このことから、申請者が見出した新規ステロイド配糖体は既存の化学療法薬とは異なる作用機序を有している可能性が示唆され、新たながん治療薬開発の契機になることが期待された。そこで本ステロイド配糖体について、腫瘍細胞に対する詳細なアポトーシス誘導機序の解明を目的に本研究を遂行している。現在は、アポトーシス誘導関連シグナルの検出について、数種類のシグナル(NF-kB、caspase-8等)に着目し、ポジティブコントロールを用いてウエスタンブロット法やキット製品における各種検出条件を繰り返し検討している。検出条件が確立されつつあるアポトーシス誘導関連シグナルもあり、おおむね順調に研究は進んでいると考えている。ポジティブコントロールを用いた各種シグナルの検出方法が確立されたのちに、申請者が見出した新規ステロイド配糖体を用いて各種アポトーシス誘導関連シグナルの検出を行い、詳細なアポトーシス誘導機序を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は申請者が見出した新規ステロイド配糖体の腫瘍細胞に対するシグナル伝達等を含めたアポトーシス誘導メカニズムを解明することを目的に進めている。アポトーシス誘導関連シグナルであるNF-kB、caspase-8、caspase-9に着目して、ウエスタンブロット法や各種キット製品を用いた検出を試みている。現在は、ポジティブコントロールを用いて、NF-kB、caspase-8、caspase-9の検出について各種検出条件の検討を繰り返し行っており、その過程で、一部のシグナルに関しては検出条件が確立されつつあるため、概ね良好に研究は進んでいると考えられる。また、一つのシグナルについて複数の方法での検出も試みており、より確実性を高めるために研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在はポジティブコントロールを用いたアポトーシス誘導関連シグナル(NF-kB、caspase-8、caspase-9)の各種検出条件を検討している段階である。検出条件が確立されつつあるシグナルもあり、引き続き研究を進め、早期にポジティブコントロールを用いた検出条件を確立することに注力する。その後、申請者が見出した新規ステロイド配糖体を用いたアポトーシス誘導関連シグナルの検出に着手し、詳細なアポトーシス誘導機序を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度はアポトーシス誘導関連シグナルの検出に向けた条件検討に繰り返し取り組んだ。その条件検討には申請者が所属する教室において既に所持していた試薬や機器を使用したため、新たな物品の購入は当初の予定より少なかった。これにより次年度使用額が生じた。しかし、研究を進めていく過程において、新たな試薬、キット製品、および機器を購入する必要性が既に生じており、2020年度は当初の予定より研究費を要することが推測される。
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