2019 Fiscal Year Research-status Report
アリル炭化水素受容体(AhR)アゴニストによる乳がん腫瘍様塊の形成抑制機構の解明
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19K23811
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
山下 直哉 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (50846649)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | アリル炭化水素受容体 / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
乳がんの死亡者数は一貫して増加しており、その対策は緊急の課題である。申請者はアリル炭化水素受容体(AhR)のアゴニストが、乳がん幹細胞の自己複製能の指標である腫瘍様塊の形成を顕著に抑制すること、その作用はAhRノックアウト(KO)細胞では認められないことを見出している。本研究では、AhRアゴニストによる乳がん腫瘍様塊の形成抑制に関わる責任遺伝子を同定し、AhRを標的とした新たな乳がん治療薬開発への基盤を提供することを目的とする。初めに、AhR KO細胞から、テトラサイクリン処理によりAhRを発現させることができる細胞株(AhRレスキュー)を樹立した。この細胞株を用いることで、AhR KO細胞におけるクローン間の性質の違いを除外することが可能となる。次に、樹立したAhRレスキュー細胞を用いて、腫瘍様塊形成法を行った。その結果、AhRアゴニスト及びテトラサイクリンの単独処理では腫瘍様塊の形成に影響は認められなかったが、テトラサイクリン及びAhRアゴニストの共処理では、腫瘍様塊の形成抑制作用が認められた。すなわち、AhRアゴニストは、AhR依存的に腫瘍様塊の形成を抑制することを確認した。そこで、AhRレスキュー細胞を用いて、AhRリガンドによるAhR依存的な遺伝子の発現変動をRNAシークエンスにて解析した。その結果、代表的なAhRの標的遺伝子の発現増加が認められるとともに、興味深い遺伝子群の発現変動が認められた。現在、RNAシークエンスから得られたデータを詳細に検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、AhRのアゴニスト処理による乳がん腫瘍様塊の形成抑制に関与する遺伝子を明らかにするため、RNAシークエンスを実施した。その結果、興味深い多数の遺伝子の発現変動が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に実施したRNAシークエンスの結果を基に、候補遺伝子の過剰発現プラスミドの作製、ならびに、siRNAを用いた遺伝子ノックダウン等を行い、候補遺伝子の発現変動による腫瘍様塊の形成への影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
RNAシークエンスの納品が予定よりも遅れ、候補遺伝子の過剰発現プラスミドの作製、ならびに、siRNAを用いたノックダウン実験に必要な試薬類を次年度に計上したため。
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