2020 Fiscal Year Annual Research Report
アリル炭化水素受容体(AhR)アゴニストによる乳がん腫瘍様塊の形成抑制機構の解明
Project/Area Number |
19K23811
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
山下 直哉 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (50846649)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | アリル炭化水素受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界における乳がんの死亡者数は一貫して増加しており、その対策は重要な課題である。これまでに、アリル炭化水素受容体(AhR)のアゴニストが、乳がん腫瘍様塊の形成を抑制すること、その作用はAhRノックアウト(KO)細胞では認められないことを見出している。しかし、そのメカニズムについては明らかになっていない。本研究では、AhRアゴニストによる乳がん腫瘍様塊の形成抑制に関わる責任遺伝子を同定し、AhRを標的とした新たな乳がん治療薬の開発へ向けた基盤を構築することを目的とする。2019年度には、AhRアゴニストによるAhR依存的な遺伝子の発現変動をRNAシークエンスにより解析した。2020年度には、RNAシークエンスによりAhRアゴニストによるAhR依存的な発現低下が認められたcell division cycle 20 (CDC20)遺伝子を同定した。CDC20は様々ながんにおいて高発現し、がんの悪性化に関与する遺伝子である。そこで、AhRアゴニストによる乳がんの腫瘍様塊の形成抑制には、CDC20遺伝子の発現低下が関与すると仮定し、検討した。RNAシークエンスの結果と同様に、リアルタイムPCR法によりAhRアゴニストによるCDC20遺伝子の発現低下作用が確認された。さらに、siRNAによるCDC20遺伝子の発現抑制により、乳がん腫瘍様塊の形成が抑制された。 以上のことから、AhRアゴニストによる乳がん腫瘍様塊の形成抑制作用には、CDC20遺伝子の発現低下が関与することが示された。
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