2019 Fiscal Year Research-status Report
Transition-metal catalyzed Crouss-coupling of hydrazone via novel synthetic intermediate
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19K23815
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
安井 基博 神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (30845912)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ヒドラゾン / C-H官能基化 / クロスカップリング / 遷移金属触媒 / 含窒素複素環 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒドラゾンは天然物や医薬品に広く含まれるインドールの合成原料として古くから知られる化学種であるため、様々な合成法が研究されてきた。その中で、ヒドラゾンを用いた炭素-炭素結合形成反応も以前より研究されてきた領域であるが、一般的な問題点として、強塩基を用いる必要がある点や、立体選択性を発現させるために化学量論量の不斉源が必要となる点が挙げられる。加えて、ヒドラゾンの炭素原子上に導入できる置換基はアルキル基に限られ、アリール基やアルケニル基のようなsp2炭素を導入する例は報告されていない。本研究は、遷移金属触媒を利用したヒドラゾンの新規カップリング反応を開発し、これまで困難であったヒドラゾンの合成法を確立するとともに、その合成中間体を見出すことでより一般性の高い有機化学的知見を見出すことである。本年は以下の成果を上げた。 (1) 種々の初期検討を行い、一置換ヒドラゾンを用いたC-Hアリール化反応が進行することを見出した。本反応はこれまで研究されてこなかった未開拓の領域であり、今後更なる知見を深めるための検討を行う。一方、二置換ヒドラゾンでは所望の反応は進行しなかった。 (2) 検討過程においてN-アリルヒドラゾンの酸化的環化反応を見出した。これは研究開始段階では目的としていなかった反応であるが、新規含窒素複素環合成法として大いに期待できる結果である。 今後はこれら2つの成果を更に進展させることで、当初の研究課題である新奇中間体の同定を見据えた検討へと展開していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期検討として窒素原子上一置換および二置換アリールヒドラゾンを用いてC-Hアリール化を検討したところ、一置換ヒドラゾンにおいてクロスカップリング体が確認された。現在のところ、N-Hアリール化とC-Hアリール化が競合しているものの、ヒドラゾンにおけるクロスカップリングがこれまでに報告されていないかった背景を考慮すると、当該領域における新知見が得られたと言える。現在の問題点は位置選択性に加えて生成物の簡便な構造決定法に欠ける点が挙げられる。一方、二置換ヒドラゾンでは所望の反応は進行しなかったものの、N,N-ジアリルヒドラゾンを基質とした際に、これまでに例のない酸化的環化反応が進行することが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で得られた知見を基に、一置換ヒドラゾンのN-HおよびC-Hアリール化の位置選択性の改善を網羅的に検討する。遷移金属触媒の特徴の一つであるリガンドによる反応性の劇的な変化を期待して、様々なリガンドを検討する予定である。もう一つの問題点である置換基導入部位の同定に関しては、複数の基質に対し詳細な二次元NMRでのピーク帰属を行うことで、それぞれの生成物に対して1H NMRまたは13C NMRに相関が見られると想定している。酸化的環化反応については当初の計画にはなかったものの、有用な含複素環構築法となることが期待されるため、クロスカップリング反応の検討と並行して研究を遂行する。まずは本反応における重要因子の同定から行い、その結果に応じて反応条件の最適化を検討する。
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Causes of Carryover |
端数として生じたため。
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