2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of fluorescent probes with AND-logic gate response for HYPOXIA
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19K23816
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高嶋 一平 神戸薬科大学, 薬学部, 特任助教 (50769742)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ANDロジック / シグナル増強 / 蛍光プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では腫瘍の低酸素環境で発現増強されるマーカー分子を標的とした抗体を用いて、抗体-酵素複合体で腫瘍に酵素を局在化する。そして本酵素の基質と低酸素環境に応答する分子を組み合わせて、腫瘍に局在化した酵素と腫瘍内の低酸素環境の二つのインプットがある場合にのみドラッグリリースされる分子設計を検討した。本研究での課題は、生体中での ① 酵素の失活、② 基質の安定性、の2点であった。これら課題に関して、酵素の安定性を増す化学修飾法を開発するとともに、基質の安定性に影響を与える親水性や分解抑制を目指した構造最適化研究を実施してきた。課題①に関して酵素の安定性を向上する新たな化学修飾方法を開発することに成功した。さらに課題②の解決を目指して基質構造を検討したところ、親水性が増すにつれて分子の分解が加速される結果であった。そこで親水性と基質の分解性でバランスの良い構造を抽出するとともに、親水性は高いが分解性は低い構造を現在も探索中である。 一方で、この構造最適化研究の間に偶然に亜鉛に対して選択的に応答する分子骨格を見出した。本分子骨格に蛍光色素を連結した蛍光プローブ分子は、亜鉛と反応したのちに色素を放出して発蛍光するとともに、残された分子骨格は細かく裁断されながら亜鉛を放出する。放出された亜鉛はリサイクルされて他の分子と反応しながらシグナル増強できる。これら分子は、細胞中であっても既存の蛍光プローブ分子に比べて高い感度を持ち、より低濃度域での亜鉛検出を可能とすることが分かった。これら研究成果は国際学術誌や学会などにて公表済みである。
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