2020 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルゲノミクスによる小胞体ストレス応答制御機構の解明
Project/Area Number |
19K23817
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
北風 圭介 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80840545)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 小胞体ストレス応答 / ケミカルゲノミクス / CRISPR / TRPV1 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体ストレス応答 (UPR)の破綻や異常活性化は糖尿病、慢性炎症、がん等の様々な疾患の発症に寄与することが知られている。本研究では小胞体ストレスを高感度に測定できるレポーター細胞株と薬理活性化合物ライブラリーを用い、CRISPR-Cas9を組み合わせたケミカルゲノミクスを行うことで、小胞体ストレス応答を制御する新規タンパク質を探索し、その生理機能を明らかにすることを目的とする。これまでに、1万種類以上の薬理活性化合物のスクリーニングを行い、UPRレポーター活性を顕著に増減させるヒット化合物の同定に成功した。そのうち最も顕著にUPRレポーター活性が変化した2候補についてCRISPR-Cas9系を用いたゲノム編集を行い、ノックアウト (KO)細胞株を樹立した。今年度はUPR活性化因子の候補として見出されたTRPV1について解析を行った。UPRレポーター細胞のレポーター活性測定により、TRPV1 KO細胞株では野生型 (WT)よりも小胞体ストレス誘導剤であるツニカマイシンやタプシガルギンに対するUPRが減弱していることが明らかとなった。TRPV1は一部が小胞体膜上に局在することが報告されているが、その機能はよく分かっていない。TRPV1 KO細胞株に対し、小胞体膜局在シグナルを付加したTRPV1を強制発現させることにより、レポーター活性が野生型と同レベルに回復することが明らかとなった。また、定量的PCRの解析から、UPRを構成するPERK経路、IRE1経路およびATF6経路の全てでUPRレポーター活性と同様の傾向が認められた。以上から、小胞体膜上に局在するTRPV1が小胞体ストレス応答全般に関与することが示唆される。本研究により、UPRを制御する新規タンパク質の候補を複数見出すことに成功した。加えて、探索研究の方法論としても有用であることを示すことができた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Presentation] Identification of a chemical chaperone for mitigating protein aggregation and proteotoxicity during endoplasmic reticulum stress2021
Author(s)
Keisuke Kitakaze, Shusuke Taniuchi, Eri Kawano, Yoshimasa Hamada, Masato Miyake, Miho Oyadomari, Hirotatsu Kojima, Hidetaka Kosako, Tomoko Kuribara, Suguru Yoshida, Takamitsu Hosoya, Seiichi Oyadomari
Organizer
Experimental Biology 2021
Int'l Joint Research
-
-
-