2019 Fiscal Year Research-status Report
超小型内視顕微鏡を用いたバソプレシン受容体遺伝子欠損による神経疾患発症機構の解明
Project/Area Number |
19K23820
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 一貴 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60830734)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 蛍光タンパク質センサー / 生体イメージング / 超小型内視顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルギニンバソプレシン(arginine vasopressin: AVP)は抗利尿ホルモンとしてはたらくほか、神経伝達物質として概日リズムや社会行動も制御している。AVP受容体遺伝子欠損マウスは、てんかん発作や社会行動の低下症状を示すが、その発症機構は未解明である。そこで申請者は、細胞内のシグナル分子や代謝関連分子の動態を可視化する蛍光タンパク質センサーと、行動中のマウスの神経活動を観察できる生体イメージング技術を組み合わせ、その発症機構を解明することを目標とした。 研究室で開発した赤色cAMPセンサーPink Flamindo、緑色cGMPセンサーGreen cGull、緑色ATPセンサーMaLionG、また先行研究で開発された緑色Ca2+センサーG-GECOをニューロン特異的に発現するアデノ随伴ウイルス用プラスミドベクターを作成した。培養細胞でウイルスが機能することを確認し、現在、マウスへのインジェクションに十分な高濃度のウイルス精製プロトコルを立ち上げているが、十分な濃度と感染力を持ったウイルスの構築には改善の余地が残り、精製法を変更してさらなる改良を進めている。 また、マウスへのウイルスインジェクションと超小型内視顕微鏡を用いた観察に先立ち、頭蓋窓作成と生体イメージング技術の確立を行った。Ca2+感受性蛍光指示薬Fluo4と共焦点内視顕微鏡を用い、麻酔下での大脳皮質アストロサイトの生体イメージングを行い、安静時のアストロサイトにおける自発的なCa2+濃度変化の観察に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分子センサーを発現するウイルス用プラスミドベクターは作成できたが、十分な発現効率と細胞毒性の低さを兼ね備えたウイルスの構築と導入には至っていない。また、マウスの頭蓋窓作成技術は習得済みであり、共焦点内視顕微鏡を用いたアストロサイトの生体イメージングにも成功しているが、長時間の観察技術には至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウス脳へのインジェクションと観察に適した高濃度のアデノ随伴ウイルスベクターの精製、および脳へのダメージの少ない導入手技の確立を目指す。また、生体イメージングの観察技術の確立を目指し、今後は、てんかん発作と社会行動低下の発症機序解明に進む。
|