2020 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブと吸収性コラーゲンメンブレンを用いた人工靭帯の開発
Project/Area Number |
19K23827
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
亀井 豪器 広島大学, 病院(医), 助教 (60633039)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 人工靭帯 / 前十字靭帯損傷 / 前十字靭帯再建術 / コラーゲン膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブを用いた前十字靭帯再建術の検討を行う研究である。ラットの前十字靭帯損傷モデルを作成し、自家腱(長趾屈筋)を用いて再建した群、カーボンナノチューブを用いて群を作成した。またコントロールとして関節を切開したのみのモデルを作成した。当初はカーボンナノチューブにコラーゲン膜を巻き再建する群も作成し、コントロールを含めて4群で検討する予定であったが、技術的に困難であり、自家腱・カーボンナノチューブ・関節切開のみの3群で比較・検討した。カーボンナノチューブにコラーゲン膜を被覆した人工靭帯の評価については、今後ウサギなど大きな動物で検討したいと考えている。術後1か月・3か月で、引張り試験機を用いた強度測定、組織学的評価を行っている。引張試験結果:術後1か月では、自家腱で再建した群は、関節切開のみの群と比較し、再建靭帯自体は正常よりも太く、引張り試験では、同等の強度を得た。どちらの群も実質部での破断を認め、自家腱再建での骨孔癒合は良好であった。カーボンナノチューブ群では、関節内の炎症が他群と比較し強く、骨孔開口部の拡大を認め、骨孔癒合は不良と思われた。また、自家腱を用いた群では滑膜と思われる組織の被覆が見られたが、カーボンナノチューブの周囲には明らかな組織は認めなかった。引張り試験では、半分程度の強度であり、全例、脛骨側での引き抜きであった。術後3か月の自家腱の引張り試験でも、正常靭帯と同等の結果を得ており、ラットでの靭帯再建では1か月で良好な骨孔癒合、強度が得られると考えられた。カーボンナノチューブの3か月群の引張り試験、3群の組織学的評価については今後行う予定である。
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