2019 Fiscal Year Research-status Report
The role of TRIM21 in B cell Abnormalities with Systemic Lupus Erythematosus
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19K23847
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
國下 洋輔 横浜市立大学, 附属病院, 指導診療医 (30849972)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | TRIM21 / SLE / IRF5 / B cell |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはマウスを用いた先行研究により、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患患者の血清中に認められる自己抗体の一つである抗SS-A抗体の対応抗原であるTRIM21が、様々な免疫現象を調節する役割を担っているIRF5というたんぱく質の発現調節を介して、SLE病態において、B細胞の過剰な活性化を抑制していることを明らかにし、論文化した。 本研究は、これらの知見をもとに、TRIM21やIRF5の発現と抗TRIM21抗体との関連、抗TRIM21抗体をもつSLE患者の臨床的特徴を明らかにすることで、SLEの新規治療標的としてのTRIM21およびIRF5の可能性とB細胞機能異常のバイオマーカーとしての抗TRIM21抗体の有用性を検討することを目的としている。 TRIM21やIRF、サイトカイン、免疫グロブリン濃度は治療修飾による影響を受けるため、申請者は、上記目的を達成するために治療修飾のない状態における、免疫系細胞のTRIM21、IRF発現や血清中サイトカイン、免疫グロブリンの量を検討するために、初発で未治療のSLE患者でPBMCや血清を採取し、抗TRIM21抗体陽性のSLE患者と抗TRIM21抗体陰性のSLE患者とを比較することとした。その結果、抗TRIM21抗体陽性のSLE患者で、抗TRIM21抗体陰性のSLE患者と比較してPBMC中のTRIM21蛋白発現が有意に低下していることを見出した。 この結果から、抗TRIM21抗体を有するSLEでは、TRIM21の機能不全を来し、Ⅰ型IFNの産生やB細胞の抗体産生が亢進することが示唆された。今後、臨床所見や血清中のサイトカイン、免疫グロブリン濃度、PBMC中のIRF発現などを比較していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は、初発、未治療のSLE患者のPBMC 10検体、血清 40検体をすでに収集しており、今後目的を達成するための実験を行う上で、解析に耐えうる検体数を確保した。さらに抗TRIM21抗体陽性SLE患者において、抗TRIM21抗体陰性SLE患者と比較して、PBMC中のTRIM21の蛋白発現が低下していることを明らかにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに一定数の検体を収集しているが、可能な限り、初発で治療修飾のない抗TRIM21抗体陰性SLE、抗TRIM21抗体陽性SLEのPBMCや血清を引き続き収集し、症例数を増やしていく予定である。すでに収集したPBMCや血清を用いて、IRF5発現やサイトカイン、免疫グロブリン濃度の評価、比較を行っていく。また、抗TRIM21抗体によるTRIM21発現を介したIRFの発現調整に関して、発現が微量であり蛋白レベルでの発現比較がむずヒトの生細胞を用いた実験では難しい可能性も考えられ、ヒト由来細胞株を用いた実験を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
SLEの検体数が十分に集まっておらず、実験試薬の使用が想定していたより少なかった。COVID-19の流行のため、実験試薬の購入が予定通り行えず、また、学会発表の予定が延期となり旅費の使用が生じなかった。
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