2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K23850
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
永井 直 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (80828145)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | T細胞 / 老化 / エピジェネティクス / 転写制御 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫系の中心を担うT細胞は、加齢や疾患に伴って老化(senescence)あるいは疲弊(exhaustion)といった機能不全状態に陥ることが知られている。本研究は、T細胞の老化が誘導されるエピジェネティックなメカニズムの解明を目指すものである。 本年度は、T細胞の老化を誘導する実験系の確立やキャラクタライズを進めた。ナイーブCD4陽性T細胞をリンパ球欠損マウス(Rag2ノックアウトマウス)に移入することによって恒常性増殖(homeostatic proliferation)を誘導し、T細胞の老化を誘導する系においては、老化したT細胞集団を特定するためにシングルセルRNA-seqを行った。その結果、Pdcd1(PD-1)やToxといったT細胞の機能不全に関連する遺伝子を高発現するT細胞集団が確認できた。この集団に特異的に発現する細胞表面分子もいくつかリストアップできており、将来的にはソーティングによって老化T細胞を単離することが可能になると考えている。 一方で、このようなin vivoモデルにおいては、実験がマウスの生育状況に依存すること、実験期間が長期に及ぶこと、得られる細胞数が少ないという欠点もある。そこで、in vivoモデルの解析に並行して、in vitroでT細胞の老化を誘導する実験系の確立も試みた。その結果、T細胞老化マーカーであるKLRG1、細胞老化マーカーであるp16やp21、あるいは老化関連分泌表現型(SASP)因子であるIL-6の発現量が上昇する培養条件を複数見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標であったシングルセルRNA-seqの解析を順調に終えることができた。さらに、in vitroのモデルも樹立できる見込みが出てきており、当初は期待していなかった項目での進捗も見られた。来年度には次世代シーケンシング解析を用いたエピゲノム解析に移ることができると考えており、順調な進捗状況と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、研究対象である老化T細胞をサンプリングする方法を確定する必要がある。すでにin vivoにおけるT細胞の老化誘導モデルを有しているが、in vitroのモデルの樹立についても引き続き進め、最も効率よく老化を誘導できる培養条件を確立する。その後、in vivo、in vitroいずれのモデルで研究を進めるかを決定し、次世代シーケンシング解析を行う段階に移りたいと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Coordinated demethylation of H3K9 and H3K27 is required for rapid inflammatory responses of endothelial cells2020
Author(s)
Higashijima Y, Matsui Y, Shimamura T, Nakaki R, Nagai N, Tsutsumi S, Abe Y, Link VM, Osaka M, Yoshida M, Watanabe R, Tanaka T, Taguchi A, Miura M, Ruan X, Li G, Inoue T, Nangaku M, Kimura H, Furukawa T, Aburatani H, Wada Y, Ruan Y, Glass CK, Kanki Y
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Journal Title
The EMBO Journal
Volume: 39
Pages: e103949
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] The NOTCH-FOXM1 Axis Plays a Key Role in Mitochondrial Biogenesis in the Induction of Human Stem Cell Memory-like CAR-T Cells2019
Author(s)
Kondo T, Ando M, Nagai N, Tomisato W, Srirat T, Liu B, Mise-Omata S, Ikeda M, Chikuma S, Nishimasu H, Nureki O, Ohmura M, Hayakawa N, Hishiki T, Uchibori R, Ozawa K, Yoshimura A
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Journal Title
Cancer Research
Volume: 80
Pages: 471-483
DOI
Peer Reviewed