乾癬の病態形成におけるレクチンを発現する真皮樹状細胞の重要性の解明

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K23852
• Research Institution: St. Luke's International University
• Principal Investigator: 善家 由香理 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 医幹 (80848325)
• Project Period (FY): 2019-08-30 – 2022-03-31
• Keywords: MGL

Outline of Annual Research Achievements

【本研究の目的】ヒトの正常皮膚及び乾癬患者の皮膚検体を用いて、ヒトMGL（Macrophage galactose-type C-type lection）の発現を免疫組織学的解析あるいは遺伝子発現解析により検出し、MGL発現細胞の数・分布、MGLの発現レベル、種々のサイトカインや表面マーカーの発現との関連を解析し、これらが乾癬の発症や増悪に寄与するか明らかにする。
【到達目標と成果】初年度より抗モノクローナル抗体（m Ab：M L D－1、15、16）による免疫染色法の検討を重ねた結果、M L D－16を用いたmAbの染色法は確立できたもののやや不安定であり、抗MGLポリクローナル抗体(pAb)染色による結果と相異を認めないことを確認した上で、pAbによる検討を進めることとした。正常と乾癬皮膚（Pso）、また疾患の比較対照として、アトピー性皮膚炎（AD）の皮膚検体を用いてMGL陽性細胞の分布や数を免疫組織学的に検討した。結果として、 MGL陽性細胞は正常皮膚にも存在し、特に真皮上層の脈管周囲を中心に分布していることが明らかとなり、また正常皮膚と比較し、PsoやADの皮膚で有意に陽性細胞数が増加していたが、PsoとADとの間で有意差は認めなかった。また、疾患皮膚においては表皮内に陽性細胞が見られた。更に、Pso、AD共に検体採取時の皮疹の重症度と陽性細胞数との相関は認めなかった。当研究室での過去の報告より、MGL陽性細胞はマクロファージや樹状細胞に発現している可能性が高いことから、現在はこれらを染め分ける各種抗体を用いた蛍光多重染色により、MGL陽性細胞の同定を行っている。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

モノクローナル抗体,ポリクローナル抗体による染色が樹立でき、目的とするレクチンをヒトの皮膚を用いて染色できるようになったため、順調に進展していると考える。

Strategy for Future Research Activity

今後の推進方策として、蛍光抗体を用いた免疫組織学的検討によるMGL細胞の同定を行いつつ、対比となる正常皮膚やアトピー性皮膚炎との比較検討も同時に行う。乾癬やの病態に関連するIL-17やIL-23等のサイトカイン発現等をリアルタイムPCR法を用いて明らかにし、MGL陽性細胞との関連を追求する。時間的な配分でPCRの検討まで試行できない場合は、免疫染色による研究結果と電子カルテより取得した臨床情報を下に統計学的に比較解析を行い、年度内に論文化する。

Causes of Carryover

C O V I D感染症に伴う顕著な外来受診患者減少により、新規検体採取が不十分であり追加検体採取が必要であったこと、また実験の縮小や、研究室使用時間の制限に伴い、予定通り研究を遂行できず物品の購入額も減少した。また研究出席予定であった国際学会が中止またはウェブ開催となり、旅費分の負担がなくなったため、これらを次年度使用分とすることとした。