2019 Fiscal Year Research-status Report
小腸貪食細胞が小腸管腔中へ伸長する樹状突起の新たな生理的役割の解明
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19K23859
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 直樹 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (80845107)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / マクロファージ / 腸管 |
Outline of Annual Research Achievements |
小腸CX3CR1+貪食細胞において特異的に発現する分泌性分子をRNA-seq解析およびパブリックデータベースの結果をもとに網羅的に解析した。小腸CD103+樹状細胞に比較して小腸CX3CR1+貪食細胞は分泌型phospholipaseファミリー分子の一つであるphospholipase A2 group IID を含むいくつかの液性分子を高発現していた。phospholipase A2 group IID分子の腸管組織を含む免疫細胞における発現パターンをq-PCRにて評価したところ、小腸 CX3CR1+貪食細胞に特異的に高発現していることが確認された。phospholipase A2 group IID分子はこれまでに脂質代謝を調整することで免疫反応を制御することに加えて、in vitroにおいてグラム陽性菌に対して抗菌作用を持つことがこれまでに報告されている。これらの先行研究を踏まえ、小腸CX3CR1+貪食細胞がphospholipase A2 group IID分子を管腔中へと分泌することで、管腔中の正常な腸内細菌維持や感染防御に寄与する可能性がある。今年度の成果を踏まえphospholipase A2 group IID欠損マウスおよびrecombinant phospholipase A2 group IIDを用いて腸管組織におけるphospholipase A2 group IID分子の機能およびを解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNA-seq解析およびパブリックデータベースの結果から小腸CX3CR1+貪食細胞が特異的に発現する分泌成分の絞り込みを行なった。phospholipase A2 group IID分子が小腸CX3CR1+貪食細胞に特異的に発現していることから、小腸CX3CR1+貪食細胞がphospholipase A2 group IID分子を樹状突起の伸長を介して管腔中へ分泌している可能性が示唆された。現在、phospholipase A2 group IID欠損マウスの繁殖およびrecombinant-phospholipase A2 group IIDの作成・精製を行なっている。phospholipase A2 group IID欠損マウスやrecombinant-phospholipase A2 group IIDを使用して今後、実験を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
phospholipase A2 group IID欠損マウスにおける腸内細菌叢の変化をメタゲノムシークエンスにより野生型マウスと比較することで評価する。また、腸管病原性細菌に対する感受性を評価する。具体的には、Listeria monocytogenesやSalmonella Typhimuriumなどの細菌を使用して感染実験を行う予定である。すでに感染実験系の作成には成功している。phospholipase A2 group IIDは脂質代謝を介してCD4+ T細胞分化を制御することが報告されているので、腸管においてもCD4+ T細胞ポピュレーションに変化がないかを野生型マウスと比較検討する。加えて、作成したrecombinant-phospholipase A2 group IIDを用いてin vitroでの、抗菌活性の評価や生理活性メカニズムの解明を目指す。上記の実験を行い、腸管におけるphospholipase A2 group IID分子の生理的役割を解明する。
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