2019 Fiscal Year Research-status Report
iPS cell-based analysis of the pathogenesis of human OAS1 disorder
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19K23861
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岡野 翼 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70848655)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | OAS1 / 肺胞蛋白症 / 原発性免疫異常症 / 低ガンマグロブリン血症 / iPS細胞 / 疾患特異的治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
OAS1異常症はOAS1遺伝子のヘテロ接合性ミスセンス変異によって発症する肺胞蛋白症・低ガンマグロブリン血症であり、本邦において2018年に新規に同定された。OAS1は抗ウイルス免疫に関わる自然免疫分子として知られていたが、その変異によって疾患発症に至る分子病態は全く不明であった。 申請者は先行研究として患者由来iPS細胞・1クローンの変異knock in iPS細胞を樹立し、そのiPS細胞から分化して得られたマクロファージが病的表現型を呈すことを確認した。本研究では解析を更に発展させ、ヒト固有のOAS1分子機能の解明、その異常による疾患発症機序の解明、さらには疾患特異的治療法の基盤開発を目的とする。 本年度の実績について (1)CRISPR/cas9システムを用いた変異knock in iPS細胞樹立;複数変異のクローンの樹立を達成した。(2)患者/変異knock in iPS細胞を用いたマクロファージ解析にて、変異OAS1を有するクローンでのみ細胞形態・機能の異常、遺伝子転写調節の異常が生じることが確認され、変異OAS1特異的な細胞機能障害が複数の変異OAS1で生じることが確認された。(3)in vitro変異OAS1機能解析系の開発;患者由来OAS1変異iPS細胞や変異knock inといった多ステップを要する煩雑な実験系と比較し、格段に簡便な機能解析系としてcell lineを用いたin vitro機能解析系の開発に成功した。(4)in vitro解析系を用いた、疾患特異的治療分子の探索;in vitro解析系での候補分子探索にて、in vitroおよびiPS細胞から分化させたマクロファージでの表現型を軽減しうる疾患特異的治療分子候補の同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
変異knock in iPS細胞の樹立、また特にはin vitro解析系の開発により以下の点において目覚ましい研究の進展を得た。 (1)変異OAS1の詳細な異常分子機構;疾患原因としてこれまでに同定されている計4変異においてin vitroで再現性のある異常を確認、OAS1の異常分子機構を確定した。また疾患非感受性とされる健常アミノ酸置換がそのような機能異常を引き起こさないことを確認した。(2)OAS1分子が細胞機能異常を引き起こす機構、また(3)疾患特異的治療;詳細な分子機構・細胞障害機構の解明により、治療候補分子の探索が可能となり、既に我々は一つの候補分子について細胞レベルでの機能異常を緩和する効果を確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
分子病態のさらなる証明として、患者iPS細胞において関連遺伝子のknock out実験を進めている。また、各アミノ酸置換がOAS1機能へ影響をきたす機序についての構造解析や、治療候補分子の効果証明として動物モデルなど、中長期的に進める予定である。
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Research Products
(2 results)