2019 Fiscal Year Research-status Report
Capturing transcriptomic and immunological signatures in Grover, Darier and Hailey-Hailey diseases
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19K23869
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
加賀 麻弥 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (30723382)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ダリエー病 / ヘイリーヘイリー病 / グローバー病 / 免疫蛍光染色 / インターロイキン6 / インターロイキン17 / 遺伝子変異解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は①日本人ダリエー病(DD)、ヘイリーヘイリー病(HHD)、グローバー病(GD)の皮疹部組織での免疫プロファイル、浸潤細胞、IL17-IL23系のサイトカイン局在状況、皮疹部の細菌/真菌感染との関連を調べ、病態理解を深めること、②西欧人DD,HHD患者皮膚RNAシーケンスで転写制御されている遺伝子を抽出し治療標的とすることを目的として、培養モデル細胞や動物で治療効果を検討することを計画し、開始した。 初年度は①について、患者及び対照群皮膚検体を用いたIL17-IL23系の蛍光免疫染色を行うため、研究者の所属研究機関および関連医療施設において倫理委員会の規定にのっとりサンプル提供者の同意を経た。正常対照皮膚切片を手術余剰皮膚から集め、患者及び陽性コントロール皮膚切片集を後ろ向きに集積し、DD/HHD/GD患者18名より計28個の患者皮膚切片が集積された。次にIL17a-IL23系の解析準備として、コントロール乾癬皮膚での蛍光シグナルの特異性評価を用いて行い、信頼性の高い抗体試薬を選定した。研究者らが注目するサイトカインの受容体について、DD/HHD皮膚の25-50%で発現が亢進する事を見いだした。 次に、疾患モデル細胞を作成しIL17a阻害薬の投与実験を行う計画であったが、同阻害薬の価格等の理由で、予定を変更し正常表皮細胞にリコンビナントIL17aを投与するとDD/HHD責任遺伝子発現が変化する事を確認した。更に前述のサイトカイン受容体についてsiRNA導入によりノックダウンすると、IL17aのATP2A2又はATP2C1遺伝子への制御が、受容体の抑制により打ち消されることを確認した。(投稿準備中) 並行してグローバー病1名、ヘイリーヘイリー病2名の遺伝子検索を新たに行い、未報告の変異を2つ同定した(M.Kaga-K et al. J Dermatol,in press)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
使用予定であった一次抗体に特異性の問題が判明し(Tamarozzi et al.Immunol Letter 2014)、研究者も陽性コントロールを用いた特異性の再評価から開始し、最終的に新しく別の一次抗体を選定するに至った。結果として貴重な患者皮膚切片の損失を最小限に抑えることができた。 共同研究先からRNAシーケンスの結果を提供される予定であったが、COVID-19流行によるフランス国内での研究所一時閉鎖、現地研究室の予算・人事の都合等の理由でRNAシーケンスの結果解析作業が進展せず、制御に関わる候補遺伝子を得ることができなかった。しかし、患者皮膚組織の免疫染色で着目したIL-17a系の関与について、培養細胞を用いたノックダウン実験を大幅に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は患者皮膚での免疫染色、共焦点画像解析の結果を定量化し、患者皮膚細菌叢(細菌培養検査の結果)との関連性を詳しく再評価する。初年度の培養細胞での実験結果とあわせて論文執筆作業を継続する予定である。 万一、次年度も共同研究施設におけるRNAシーケンス解析が進まない場合は、新たな研究テーマとして、既に乾癬治療薬として用いられ、ヘイリーヘイリー病での有効例が報告され始めた(Kieffer J et al.JAMA Dermatol 2018)アプレミラストを用い、細胞レベルでATP2A2, ATP2C1発現への影響を調べ定量化するも検討する。初年度はIL17aを中心に解析したが、より上流のサイトカインであるIL-23や、患者皮膚細菌叢との関連をより深く解析するため、患者皮膚組織での抗菌ペプチド発現状況を免疫染色で解析する、なども代替案とする計画である。 初年度に引き続き、DD/HHD/GD患者について、同意を得た際は積極的に変異解析を行い、患者皮膚組織の免疫の特徴・細菌叢・変異のタイプ、の3者の関連性も含めた病態への理解を深める。
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Causes of Carryover |
リバイス実験の件費として使用する予定
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Research Products
(2 results)