2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K23871
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
井上 彰子 東邦大学, 医学部, 助教 (40770475)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | シェーグレン症候群 / 自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々は、T細胞分化に重要な働きをする核内転写制御因子Special AT-rich sequence binding protein-1 (SATB1)を血球系細胞特異的に欠損する SATB1cKOマウスを用いて、免疫寛容成立のメカニズムを解析してきた。SATB1cKOマウスは胸腺での中心性免疫寛容の破綻がおこり、生後早期からシェーグレン症候群(SS)様の唾液腺炎、涙腺炎を呈し、加齢と共に全身性 エリテマトーデス(SLE)様の全身性自己免疫疾患を発症することが明らかとなっている。本研究では、SATB1 cKOマウスにおいて発症するSSの続発症は、自己反応 性の病原性T細胞が発症の直接的原因となるのか?または、SS病態の進行に伴い増加する自己抗体産生B細胞が発症の直接的原因となるのか?を明らかにすること を目的とした。SS 症状を発症したSATB1 cKOマウスの頸部リンパ節T細胞を、生まれつきリンパ球を持たないRAG2 (recombination activating gene 2)KOマウスに移入すると、移入後4週以降で、SS様の唾液腺機能障害を発症した。そのマウスの唾液腺について組織学的検討を行った結果、唾液腺組織へのT細胞浸潤と、組織破壊の亢進が認められた。次に、病原性T細胞によるB細胞の活性化を調べるために、生まれつきB細胞は持っているが、T細胞を持たないヌードマウス(C57BL/6 nude)にSATB1 cKOマウスの頸部リンパ節T細胞を移入した。その結果、血清中にSS特異的自己抗体は、経時的に増加することが明らかとなった。これらの結果より、SATB1 cKOマウス頸部リンパ節T細胞は、正常なB細胞を自己抗体産生細胞に分化させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヌードマウスを入手し、繁殖を開始したが、コロナウイルス緊急事態宣言に伴う飼育制限により動物の繁殖と実験が遅れた。現在は、SATB1 cKOマウスの頸部リンパ節T細胞を移入したヌードマウス唾液腺の病理学的解析と、B細胞活性化機構の解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的の1つであるBAFF(B cell stimulating factor of tumor necrosis factor family)の解析が遅れているので、SATB1 cKOマウスにおけるBAFFの発現解析を進める。特に、SATB1 cKOマウス由来病原性T細胞がヌードマウスにSSを発症させ、正常なB細胞が自己抗体産生細胞に分化するときにおけるBAFFの関与について詳しく調べる予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス緊急事態宣言に伴う飼育制限により動物の繁殖と実験が遅れたため、引き続きの飼育費を要する。また、BAFF(B cell stimulating factor of tumor necrosis factor family)の発現解析に関する実験費用に充てる。
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Research Products
(5 results)