2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K23871
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
井上 彰子 東邦大学, 医学部, 助教 (40770475)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | シェ―グレン症候群 / 自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々は、T細胞分化に重要な働きをする核内転写制御因子Special AT-rich sequence binding protein-1 (SATB1)を血球系細胞特異的に欠損する SATB1cKOマウスを用いて、免疫寛容成立のメカニズムを解析してきた。SATB1cKOマウスは胸腺での中心性免疫寛容の破綻がおこり、生後早期からシェーグレン症候群(Sjogren's syndrome; SS)様の唾液腺炎、涙腺炎を呈し、加齢と共に全身性 エリテマトーデス(SLE)様の全身性自己免疫疾患を発症することが明らかとなっている。本研究では、SATB1cKOマウスにおいて発症するSSの続発症は、自己反応性の病原性T細胞が発症の直接的原因となるのか?または、SS病態の進行に伴い増加する自己抗体産生B細胞が発症の直接的原因となるのか?を明らかにすることを目的とした。SS 症状を発症したSATB1cKOマウスの頸部リンパ節T細胞を、生まれつきリンパ球 を持たないRAG2 (recombination activating gene 2)KOマウスに移入すると、移入後4週以降で、SS様の唾液腺機能障害を発症した。そのマウスの唾液腺を解析すると、インターフェロンγ(IFN-γ)産生細胞、インターロイキン17(IL-17)産生細胞、インターロイキン4(IL-4)産生細胞の順にT細胞が浸潤していた。特にインターフェロンγ(IFN-γ)産生細胞が最も多かったことから、IFN-γ産生細胞がSS様病態発症のトリガーになる可能性を考え、病態発症前のSATB1cKOマウスに抗IFN-γ中和抗体を継続投与して、唾液腺の機能を調べた。その結果、抗IFN-γ中和抗体の継続投与では、唾液分泌障害の発症は抑制できないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RAG2KOマウスとヌードマウスの繁殖が進まず、実験動物の確保に時間がかかり実験が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、SS様病態を発症したSATB1cKOマウスの頸部リンパ節T細胞を移入したヌードマウスの唾液腺の組織解析を行い、胚中心の形成を確認し、胚中心形成における病原性T細胞の役割等、さらに詳細な解析を進めている。また、抗IL-17中和抗体の継続投与による、SS様病態発症への影響の解析が進行中である。
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Causes of Carryover |
RAG2KOマウスとヌードマウスの繁殖が進まず、実験動物の確保に時間がかかり実験が遅れたため、飼育関連費用の未使用額が生じた。残金は、現在進行中の実験に必要な消耗品費用に充てる。
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Research Products
(3 results)