2019 Fiscal Year Research-status Report
Addressing the role of CD36 in insulin secretion and diabetes incidence using a new mouse model
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19K23872
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
長尾 元嗣 日本医科大学, 医学部, 講師 (10468762)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 糖尿病 / β細胞 / CD36 / インスリン分泌 / エキソサイトーシス / Oikawa-Nagaoマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画書に基づいて本年度は、「CD36がインスリン分泌能を低下させるメカニズム」を中心に解析を進めた。具体的には、ラット由来の膵β細胞株であるINS-1細胞にTet-onシステムを使ってCD36を過剰発現させ、インスリン分泌とその経路に及ぼす影響を解析した。その結果、CD36の過剰発現によって細胞膜に接着するインスリン分泌顆粒(接着顆粒)数が半減し、エキソサイトーシスが障害され、グルコース応答性インスリン分泌能が低下した。さらにその細胞内メカニズムを検証したところ、CD36の過剰発現によってインスリンレセプター基質(IRS)がタンパク質レベルで減少し、インスリンシグナル経路が抑制されることによってFOXO1が核内移行した結果、インスリン分泌顆粒と細胞膜との接着を制御するSNAREタンパク質(SNAP25、VAMP2)とその複合体形成に関与するSTXBP1が遺伝子およびタンパク質レベルで減少することがわかった。またCD36によるIRSの減少には、脂肪酸の過剰流入によるプロテインキナーゼC(PKC)εの活性化と、それによるIRS1(Ser 612)の過剰リン酸化が関与するものと考えられた。これらの結果は、糖尿病モデルOikawa-Nagao(ON)マウス膵島の解析のにおいて、ON Diabetes-Prone(ON-DP)マウスの膵島ではON Diabetes-Resistant(ON-DR)マウスと比較して、CD36のタンパク質発現量が約2倍多く、膵島内の脂質含有量が有意に増加し、SNAREタンパク質の遺伝子発現量が低下しているという解析結果を分子生物学的に説明しうるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の「CD36がインスリン分泌能を低下させるメカニズム」について、おおむねその目的を達成することができた。また、ON-DP/DRマウスでみられるグルコース応答性インスリン分泌能の差異に関して、CD36の高発現と脂肪酸流入の増加に伴った接着顆粒数の減少が一因であると考えら、CD36が糖尿病発症に関与することを示唆する一定の成果と考えられた。さらに現在、走査電子顕微鏡を使ってON-DP/DRマウスβ細胞のインスリン分泌顆粒分布を解析しており、ON-DPマウスのβ細胞ではCD36を過剰発現させたβ細胞株と同様の接着顆粒数減少が確認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた成果から次年度はまず、「CD36がインスリン分泌能を低下させるメカニズム」に関するON-DP/DRマウスの膵島を使ったさらなる検証を進める。具体的には、両系統マウスの膵島間でIRSのタンパク質量、PKCεやFOXO1の細胞内局在を評価する。次に「β細胞CD36を標的とした介入の有効性」を検証するために、β細胞株やON-DP/DRマウスの膵島を用いてCD36の発現量調節試験や機能制御試験を行い、エキソサイトーシスやグルコース応答性インスリン分泌能への影響を評価する。
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Research Products
(3 results)