2020 Fiscal Year Research-status Report
Addressing the role of CD36 in insulin secretion and diabetes incidence using a new mouse model
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19K23872
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
長尾 元嗣 日本医科大学, 医学部, 講師 (10468762)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病 / インスリン分泌 / CD36 / β細胞 / エキソサイトーシス / Oikawa-Nagaoマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画書に基づいて本年度は、Oikawa-Nagao Diabetes-Prone(ON-DP)マウスにおいて「CD36がインスリン分泌能を低下させるメカニズム」を中心に解析を進めた。これまでの研究からON-DPマウスの膵島は、ON Diabetes-Resistant(ON-DR)マウスと比較して、CD36のタンパク質発現量が約2倍多く、膵島内の脂質含有量が有意に増加し、β細胞におけるインスリン顆粒の接着顆粒数が約3分の1程度に減少していることがわかっている。そこで両系統マウスのβ細胞におけるCD36の発現を確認するため、ON-DP/DRマウスから単離した膵ランゲルハンス島(膵島)を細胞レベルに分散して固定したサンプルを使い以下の検討を行った。まず、これらの細胞をCD36とインスリンの2抗体で共染色して蛍光標識し、インスリン陽性細胞(β細胞)におけるCD36の蛍光シグナルとその細胞内分布を共焦点レーザー顕微鏡で観察した。その結果、両系統マウスにおいて、ほぼ全てのインスリン陽性細胞でCD36の蛍光シグナルを確認することができ、ONマウスのβ細胞にCD36が発現していることを確認した。さらに膵島細胞の細胞膜表面のみをCD36抗体で染色し、続いてその内部をインスリン抗体で追加染色した後に、それぞれの抗体に付着させた蛍光物質の強度をフローサイトメーターで分析したところ、ほぼ全てのインスリン陽性細胞の細胞膜表面にCD36が発現していることがわかった。また両系統マウスのβ細胞間ではCD36の細胞内局在に明らかな差異があることも新たに見出しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の流行による緊急事態宣が発出され、およそ3ヶ月間にわたり動物実験施設への新規実験動物搬入が停止された。その影響を受け、本研究課題においても本年度の前半は動物実験を中止せざるを得なかった。そこで同期間は、既存のサンプルを中心に、ON-DPマウスにおいて「CD36がインスリン分泌能を低下させるメカニズム」に関する解析を行った。その結果、研究実績の概要に記したように、ONマウスのβ細胞とその細胞膜表面におけるCD36の発現を確認すると共に、両系統マウスのβ細胞間ではCD36の細胞内局在に明らかな差異があることを新たに見出しつつある。これらの成果は、CD36の発現量のみならずβ細胞内局在の差異が、インスリン分泌能や将来の糖尿病発症に関与することを示唆する新知見と考えられた。本年度後半からは動物実験が再開されたため、ON-DPマウスの膵島を使ったCD36の発現量調節試験や機能制御試験を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に基づき、次年度はON-DPマウスを使った「β細胞CD36を標的とした介入の有効性」に関する検証を進める。具体的には、CD36の高発現やそのβ細胞内局在が異なるON-DPマウスの膵島を使い、siRNAによるCD36の発現量調節試験やCD36特異的IgG抗体による機能制御試験を行って、IRSやSNAREタンパク質群の発現量、FoxO1の核内移行、インスリン顆粒の接着顆粒数やグルコース応答性インスリン分泌能の変動を評価し、CD36を標的とした介入の影響を調べる。
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Causes of Carryover |
本年度は、新型コロナウイルス感染症の流行による緊急事態宣が発出され、およそ3ヶ月間にわたり動物実験施設への新規実験動物搬入が停止された。本研究課題もその影響を受け、本年度の前半は動物実験を中止せざるを得ず、研究の進捗状況にもやや遅れが生じたため次年度使用額が発生した。研究計画書に基づき、次年度はON-DPマウスを使った「β細胞CD36を標的とした介入の有効性」に関する検証を進める予定であり、その物品費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)