2020 Fiscal Year Annual Research Report
感染記憶として働く小分子RNAを介したウイルス防御機構の解明
Project/Area Number |
19K23874
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小出 りえ 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 特別研究員 (40846325)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 内在性RNAウイルス / ボルナウイルス / 感染防御 / 小分子RNA / piRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物のゲノムにはウイルス由来の配列が多数存在する。内在性ボルナウイルス様ヌクレオプロテイン (EBLN)は、RNAウイルスの一種であるボルナウイルス (BoDV)に由来する遺伝子配列である。先行研究より、EBLNがpiRNAと呼ばれる小分子RNAを発現し、BoDVのmRNAに対してアンチセンス鎖のpiRNAを産生することが示されている。本研究課題では、EBLN由来のpiRNAが配列特異的に外来性BoDVの感染を抑制する可能性を、遺伝子改変マウスモデルを用いたBoDVの感染実験によって検証することを目的とした。 EBLN由来piRNAの機能を調べるため、CRISPR/Cas9システムを用いてpiRNAを産生するEBLN3、EBLN4、EBLN5をそれぞれノックアウトしたマウスを作製した。さらにこれらのマウスを交配し、EBLN3、EBLN4、EBLN5を全て欠損したマウス(EBLNノックアウトマウス)を得た。EBLNノックアウトマウスおよび野生型マウスにGFP発現組換えBoDVを脳内接種し、定量的RT-PCRや組織化学的探索によってBoDVの感染を調べたが、これらのマウスにおいてBoDV感染に対する感受性の違いは認められなかった。この原因の一つとして、EBLN配列と現存のBoDVヌクレオプロテイン遺伝子の塩基配列相同性が70%程度しかないために、EBLN由来piRNAがBoDVのmRNAを効率的にサイレンシングできない可能性が考えられた。そこで、マウスゲノムのpiRNAクラスターに現存のBoDVヌクレオプロテイン遺伝子と同一の配列(EBN)を挿入したEBNノックインマウスを新たに作製した。EBNノックインマウスが野生型マウスと比較して、BoDVに対する抵抗性を示すかどうか、現在検証中である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Endogenization and excision of human herpesvirus 6 in human genomes2020
Author(s)
Liu, X., Kosugi, S., Koide, R., Kawamura, Y., Ito, J., Miura, H., Matoba, N., Matsuzaki, M., Fujita, M., Kamada, A.J., Nakagawa, H., Tamiya, G., Matsuda, K., Murakami, Y., Kubo, M., Sato, K., Momozawa, Y., Ohashi, J., Terao, C., Yoshikawa, T., Parrish, N.F., Kamatani, Y.
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Journal Title
PLOS Genetics
Volume: 16
Pages: e1008915
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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