2022 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス反応性メモリーB細胞の制御機構の解明
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19K23875
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
森山 彩野 国立感染症研究所, 治療薬・ワクチン開発研究センター, 主任研究官 (60632354)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 自然リンパ球 / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザウイルス感染症は重大な呼吸器感染症の一つである。さらにインフルエンザウイルス感染系は、実験動物で実験系が確立されているなど研究ツールの開発が進んでおり、感染免疫研究全体の発展のためにも引き続き研究が必要であると考えられる。感染防御免疫応答においてB細胞から産生される抗体は病原体排除に重要な役割を担う。また活性化したB細胞の一部はメモリーB細胞として長期に渡って体内で維持され、再感染時に多くの抗体を産生する。自然リンパ球はサイトカインを介して免疫細胞の働きを制御しており、特に2型自然リンパ球はB細胞応答の制御に関わる2型サイトカインの主要産生細胞のひとつでありメモリーB細胞応答の制御に関わって感染免疫応答を調節する可能性が考えられる。また自然リンパ球の働きがB細胞応答で調節される可能性も考えられる。インフルエンザウイルス感染においてメモリーB細胞から抗インフルエンザIgG抗体が作られる。IgG抗体は定常領域を介して免疫細胞表面のFc受容体と結合して免疫細胞の機能を制御するため、IgG抗体が自然リンパ球に与える影響を検討した。マウスへ抗インフルエンザIgG抗体を投与し、インフルエンザウイルスを経鼻感染させて肺に含まれる自然リンパ球を解析したところ、感染によって自然リンパ球が増加しており、特に抗体投与群において顕著な増加がみられた。さらに、抗インフルエンザIgG抗体投与はインフルエンザウイルス感染による体重減少を抑制したが、自然リンパ球を除去すると抑制が解除され、自然リンパ球が感染後の体重減少の抑制に寄与すると考えられた。抗インフルエンザ抗体投与と感染によって増加する自然リンパ球のサブセットを解析したところ、主に1型自然リンパ球が増加していた。本研究結果から、1型自然リンパ球がIgG抗体により制御されてインフルエンザ応答に関わることが考えられる。
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